ロシア連邦保安局(FSB)は、本年10月13日、極東サハリン州で北海道新聞記者をスパイ容疑で拘束したと発表した。ロシアメディアの報道によれば、裁判所が同記者の2か月間の勾留を決めたとのことである。

北海道新聞は、日本のメディアで唯一、サハリンに記者を常駐させ、記者査証(ビザ)を受けて取材活動をしており、北海道とロシア極東地域、ひいては日本とロシアの政治・経済・文化、民間交流の架け橋となってきた。

報道機関の記者による取材活動は、市民の知る権利を支える民主主義社会の基盤であり、市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)第19条第2項及び世界人権宣言第19条に照らしても、その自由は最大限尊重されなければならない。とりわけ国境を越えた取材活動は、国際社会の実情を伝え、相互理解を促進する上で重要な役割を果たしている。

仮に国家の安全保障その他の名目による制約がなされる場合であっても、取材活動に関する記者の権利及び自由は十分尊重されなければならず、また、その身体拘束については法的根拠と厳格な適正手続が求められる。自由権規約をはじめとする国際人権基準は、表現の自由及び身体の自由の保障を各国に求めている。なお、日本とロシア間の領事条約第32条第2項及び同議定書第2項は、領事官は、自国民が逮捕等の身体拘束を受けた場合には4日以内に被拘束者と面会できる旨を定めているが、報道によれば、その面会が実現したのは10日以上が経過した10月26日のことであり、適正手続がないがしろにされていると言わざるを得ない。

当連合会は、日本政府に対し、今回拘束された記者の安全確保と権利保護のため、日本及びロシア両国が批准している自由権規約や前記領事条約などに基づき、国内外の関係機関と連携しつつ、最大限の外交的努力を尽くすことを要請する。日本政府は、ロシア当局に対し、当該記者に対して国際人権基準に則った適正な法的手続をとるとともに、必要かつ十分な領事的支援を保障し、同記者を早期に解放することを引き続き強く求めるべきである。

当連合会は、表現の自由及び報道の自由の擁護、そして人権保障の実現に向けて、今後も取り組んでいく決意を改めて表明する。

2026(令和8)年11月4日
北海道弁護士会連合会
理事長 岸 田 洋 輔