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声明・宣言

個人通報制度の早期導入及び国内人権機関の設置を求める決議

当連合会は、政府及び国会に対し、国際人権(自由権・社会権)規約、人権差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、子どもの権利条約等に定める個人通報制度を早期に導入すること及び政府から独立した国内人権機関を設置することを強く求める。

以上のとおり決議する。

2013年(平成25年)3月23日
北海道弁護士会連合会

決議理由

  1. 個人通報制度について
    個人通報制度とは、国際人権(自由権・社会権)規約、人権差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、子どもの権利条約等の人権条約に保障された人権が侵害され、国内での法的手続を尽くしても救済されない場合、個人などがその条約機関に対して、直接通報することによって救済を求める制度である。
    多くの人権条約は、個人通報制度を定めているところ、この制度をわが国に導入するためには、国際人権(自由権・社会権)規約、女性差別撤廃条約及び子どもの権利条約においては選択議定書の批准、拷問等禁止条約及び人種差別撤廃条約においては本体条約の中にある個人通報条項を受諾宣言する必要がある。しかし、わが国は、選択議定書の批准も個人通報条項の受諾宣言もしていない。
    わが国の裁判所は、条約上の権利保障条項の適用に積極的とはいえず、国際人権基準の国内実施が極めて不十分なものとなっている。各人権条約における個人通報制度が実現すれば、個人の人権侵害からの救済のみならず、条約機関から人権侵害の原因となる法律の改正や立法を促す契機となり、国際人権基準を踏まえた人権保障の実現が期待される。
    そこで、当連合会は、上記人権条約が定めている個人通報制度を早期に導入することを求めるものである。
  2. 国内人権機関について
    国連決議及び人権諸条約機関により、国際人権条約及び憲法などで保障される人権が侵害され、その回復が求められる場合に、司法手続よりも簡便で迅速な救済を図ることができるよう国内人権機関を設置することが求められており、多数の国が既にこれを設けている。
    国内人権機関は、1993年12月の国連総会決議「国内人権機関の地位に関する原則」(いわゆる「パリ原則」)に沿ったものである必要がある。
    わが国に対しては、人権諸条約機関から、早期にパリ原則に合致した国内人権機関を設置すべきという勧告がなされている。
    現在の法務省人権擁護局の人権擁護委員制度は独立性が認められず「パリ原則」に沿ったものと位置づけることができない。
    そこで、当連合会としては、政府及び国会に対し、国際的な評価に値する国内人権機関の速やかな設置を求めるものである。

以上

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