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声明・宣言

北海道内の弁護士ゼロワン地域の解消に関する理事長声明

本年12月18日に、旭川地方裁判所紋別支部管内である紋別市に「流氷の町ひまわり基金法律事務所」が開設されたことにより、北海道内に16ある地方裁判所支部単位の「弁護士ゼロワン地域」が完全に解消された。

日本弁護士連合会は、1996年(平成8年)の定期大会で、弁護士過疎・偏在を解消するために全力をあげて取り組む決意であることを内外に明らかにし、1999年(平成11年)には、全会員から特別会費を徴収して「ひまわり基金」を設置した。北海道弁護士会連合会は,旭川弁護士会と共に,2001年(平成13年)4月1日にこの基金を使って、紋別市に北海道内で初めて「ひまわり基金法律事務所」を設置し、弁護士を常駐させることができた。当連合会は,本日までに道内に18の「ひまわり基金法律事務所」を設置し、うち網走、室蘭、中標津、伊達、宗谷の5つは赴任した弁護士が個人的事務所として地元に定着するに至った。

当連合会は、ひまわり基金法律事務所設置に尽力することと並行して、2004年(平成16年)2月に、弁護士過疎地域において業務を行う弁護士の育成と確保を図ることにより、北海道民に等しく弁護士による法的サービスを提供することをめざし、道内の全会員から特別会費を徴収して「すずらん基金」を設置するとともに、2005年(平成17年)3月に「弁護士法人すずらん基金法律事務所」を設置して、人材を育成してきており、これまで「ひまわり基金法律事務所」に派遣したばかりでなく、室蘭市や登別市にて開業する弁護士を輩出してきている。
道内の旭川弁護士会、釧路弁護士会、札幌弁護士会、函館弁護士会と共に協力して、こうした取り組みを続けた結果、道内における「弁護士ゼロワン地域」を解消できたことは、極めて意義深いものがある。

もっとも、今後の弁護士数の増加や「ひまわり基金法律事務所」や「すずらん基金法律事務所」の維持・発展のみで道内の弁護士過疎問題が解消されるわけではないし、より広く司法過疎の問題としてみたとき、弁護士のみならず、裁判所・検察庁支部の機能強化、裁判官・検察官非常駐支部の問題等が残されており、これは、「国民の裁判を受ける権利」という憲法上の権利に関わる極めて重要な問題であることから、当連合会としては、国に対し司法基盤の整備の推進を強く求めるとともに、引き続き弁護士過疎・偏在地域の解消に全力をあげて取り組む決意である。

2011年(平成23年)12月18日

北海道弁護士会連合会
理事長 房川 樹芳

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