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声明・宣言

台風10号による道内被災地に対して、被災者生活再建支援法の適用を求める理事長声明

 本年8月31日、台風10号の暴風雨により、十勝地方全域及び南富良野町を中心に、橋梁の崩壊や河川が氾濫して、家屋や田畑が浸水するなど甚大な被害が発生しました。この被害に関しては、道内20市町村について災害救助法が適用されました。今夏においては、台風10号以外にも3つの台風が北海道に上陸し、前記の地域以外にも、広く道内全域に、大きな被害をもたらしました。これらの災害により亡くなられた方々、被災された方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 当連合会においては、釧路弁護士会からの要請に基づき、災害支援統括本部を設け、被災者支援のための情報発信として道弁連被災者支援ニュースを発行し、現在釧路弁護士会帯広会館では、無料電話相談を実施しています。さらに旭川、釧路、札幌、函館の道内4弁護士会は、各地の実情に応じて、災害関連の無料法律相談を拡充しているところです。
 ところで今回の台風10号による災害に関して、岩手県は、被害を受けた市町村に対し、被災者生活再建支援法(以下「同法」という)を適用することを決定しました。同法の適用により、全壊・大規模半壊の被害を受けた世帯に対しては、その住宅の被害程度に応じた支援金が、公益財団法人都道府県会館から支給されることになります。
 北海道は、現時点では、同法の適用を決定していません。これは、被災者支援法の支援対象を定めた被災者生活再建支援法施行令(以下「施行令」という)が、自治体単位で適用を決めていることによるものです。しかしながら北海道の被害情報において、全道における住家被害は、全壊13件、半壊8件、床上浸水240件と報告(9月12日付け速報値)されており、被災者支援法の適用条件を十分満たすレベルにあります。特に、南富良野町とこれに隣接する新得町、清水町、芽室町における被害は甚大です。同じ自然災害によって生じた被害であるのに、居住する行政区分によって適用の有無が異なるという結果は、一人ひとりの被災者の立場からすれば不条理であり、同法の被災者支援の目的に照らしても著しく不合理です。
 当連合会は、北海道において、速やかに被災者及び被災地の復旧のために、同法を適切に解釈して、その適用を決定することを強く求めます。
 あわせて国に対して、施行令を速やかに改正し、今回の台風10号による災害についても、現行制度では救済を受けられない被災者に対し、適切な支援を行うことを要望いたします。

2016年9月24日

北海道弁護士会連合会
理事長  太田 賢二

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