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声明・宣言

北海道の司法過疎問題に弛みなく取り組む共同宣言

 北海道は日本の国土の20%以上にも及ぶ広大な面積を有しており,広い大地の隅々まで良質な司法サービスを提供するため,北海道弁護士会連合会(道弁連),及び旭川,釧路,札幌,函館の4弁護士会(道内4弁護士会)は,さまざまな取組を続けてきました。

 代表的な活動としては,2004年度(平成16年度),道弁連は,北海道の司法過疎問題に対応するため,「すずらん基金」を創設するとともに,2005年度(平成17年度),「すずらん基金法律事務所」を設立し,過疎地へ派遣する弁護士を養成してきました。また,過疎型法律相談活動として全道一斉法律相談で始まった活動は,現在は,道内4弁護士会の各地域での法律相談活動等に発展しています。

 他方で,司法基盤整備については,日本弁護士連合会と最高裁判所との協議のもとで労働審判を実施する裁判所支部の拡大等が進む予定にあるものの,残念なことに北海道内の裁判所はその対象とはならず,多くの裁判所支部に裁判官を常駐させることについても,進展の兆しが見えません。司法の役割を高め,国民の裁判を受ける権利を地域でも十分に実現するためには,司法予算を抜本的に拡大することが必要ですが,特に北海道では,人口減少による過疎化が進むなか,弁護士が地域と結びつく活動を精力的に進める必要があります。

 そのため,道弁連は,2013年度(平成25年度),「すずらん基金」の特別会費徴収期限を5年間延長するとともに,2015年度(平成27年度)は,過疎地派遣弁護士の養成方法について,現在の「すずらん基金法律事務所」を存続させることを決議しました。

 そして,本日,道弁連は,北海道との間で包括連携協定を締結しました。1980年(昭和55年)の道弁連定期大会において,司法過疎対策事業について北海道に積極的な協力を要望する旨の決議が採択され約36年となりますが,ここにきて初めて北海道の司法過疎対策に関する具体的な連携が実現したものです。これは北海道の弁護士が地域住民の法的支援に関わることを通して地域の法化社会を実現することを基盤としながら,さらに地域の暮らし,まち,ひとの法文化を創造し,共働して司法過疎対策を行うための基盤整備の第一歩と位置付けられるものです。道弁連は,北海道との連携を機に,さらに具体的な活動を進めるとともに,このような取組が全国的に展開されるよう発信していきます。

 北海道の司法過疎への取組は,道弁連及び道内4弁護士会にとって,極めて重要な使命です。道弁連及び道内4弁護士会は,司法過疎問題を克服し,法の支配を地域の隅々まで行き届かせることにより,地域の一人一人の権利が実現される社会を築くために,今後も弛みなく取り組んでいくことを宣言します。

2016年(平成28年)3月23日

北海道弁護士会連合会 理事長 田 村 智 幸
旭川弁護士会 会 長 金   昌 宏
釧路弁護士会 会 長 阪 口   剛
札幌弁護士会 会 長 太 田 賢 二
函館弁護士会 会 長 木 下 元 章

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