日高横断道路現地調査報告
札幌弁護士会  弁護士  佐藤光子

1、はじめに

 札幌弁護士会公害対策環境保全委員会では道弁連委員、日弁連委員とともに、9月8日、9日の2日間に渡り日高横断道路(正式名は道道「静内中札内線」)の建設状況についての現地調査を行った。
 日高横断道路とは静内と中札内・帯広を結ぶ予定の全長約101kmに渡る道道である。そのうち難工事が予想される日高山脈横断部約25kmは開発道路として北海道開発局が建設を担当しているが、地盤のもろさなどから掘削も始まっていない箇所もあり、1984年の着工以来既に18年の歳月と道と国で合計約490億円の費用を投じているにもかかわらず、いまだ完成のめどは立っていない。道が担当する両端部分は着工前から林道などがあったため、拡張、舗装などの工事が行われている。

 日高横断道路の完成までに、はさらに約750億円の事業費が必要といわれており、多額の事業費と長い時間がかかることから、本年6月、堀知事が建設見直しに言及し、年内に結論を出すと発言したため、その建設の是非につき、マスコミでもクローズアップされている。

2、静内側

 8日は静内側を視察し、高見ダム地点まで未舗装の、車がすれ違うのも困難な狭い道路を進んだが、落盤の補修工事が 所々なされていた。 静内側は急峻な地形のため、毎年土砂崩れがおこり、通行止めを繰り返している。視察で通過した道路は既に完成したと評価されている部分であるが、とても安全な道路とは程遠く、雨天には通りたくないという印象を受けた。

3、中札内側

 翌9日は、中札内村のヒアリングを行った。建設の賛成、反対の両方の意見を広く聞きたいというのが当委員会の姿勢であったが、建設反対の立場の自然保護団体は積極的にヒアリングに応じるのに対し、推進側は結局ヒアリングの要請に応じたのは中札内村と後述の工事現場での帯広開発局だけであった。
 中札内村では村長が対応に応じ、「途中で中止したほうが自然破壊で、早く完成させて欲しい」「道路は出来て初めてそのよさを肌で感じるもの」「日本の技術では5,6年で完成すると信じている」などの話をしていたが、費用対効果の問題など実践的な問題になると明言を避け、村としての希望を聞くにとどまったという感は否めなかった。
 その後、中札内側の道路の視察をしたが、静内側に比べ、かなり出来上がっており、開発局担当部分も橋がひとつ出来上がっているのを見ることが出来た。現地での帯広開発局の説明では、工事の際、稀少植物を発見したらすぐ他に移す等、自然に配慮していると言うことだったが、何件くらい、どこに移したのかといった具体的な話になると全く答えられず、抽象的な言葉に終始した印象であった。

4、終りに

 以上の視察からは、日高横断道路は地形的に完成するのは難しいのではないか、開通したとしても崩落等の危険が多いのではないか、天馬街道等の道路があるのにさらに多額な費用と時間をかけこの道路を開通させる必要性があるのかという疑問を強くもった。
 それと同時に世界遺産の候補とまで言われる日高山脈の自然環境に触れることが出来、道路の建設がこの自然の保護とは相容れないものであるという印象も強く持った。
 北海道は豊かな自然の保護と大型公共工事の鋭く対立する場面が少なくないが、札幌弁護士会公害対策環境保全委員会では引き続きシンポジウムなどを通じ、この問題に取り組む予定である。

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