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平成18年度道弁連大会記念シンポジウム(午後の部)

    ○司会 午後の部を始めさせていただきたいと思います。

    では、引き続き、辻本先生、よろしくお願いいたします。

    ○辻本 午後の部を始めたいと思います。終了時刻の2時は動かせないものとして決まっておりますので、仮に話が中途半端になってしまいましても、近いところでまとめるということにさせていただきます。それをあらかじめ御了承いただきたいと思います。

     午前中、質問票をお願いしましたところ、おひとかた、御質問を寄せられている方がいらっしゃいまして、御質問者の方は今いらっしゃらないようだけれども、時間の都合もありますので、最初にお答えしたいと思います。

    御質問の趣旨は、生活保護の受給申請の援助、こういう作業を法テラスさんが、この質問票の表現によりますと、全面的に支援していってもらえるのだろうか、その可能性はあるのだろうかという質問になっておりますが、多分、現在、法律扶助協会がやっている自主事業のお話かと思います。小林先生にその辺の検討状況などをお話しいただけたらと思います。

    ○小林 今おっしゃられた自主事業の委託事業の範囲として、生活保護受給者に対する生活保護申請、あるいは自立支援、そういったこともこのたびの理事会の決議の中の委託の事業の中に入るという方向で今検討しておりまして、これは入れることを前提に、法テラス側との協議がございますので、協議の段階でもそのことはきちっと協議のテーブルに乗せて、委託をできるように対応していきたいというふうに考えております。高齢者、障害者、ホームレス、そういったことの生活保護、自立支援、そういったものも当然今、日弁連としては委託の内容に考えているということでございます。

    ○辻本 ありがとうございました。

     それでは、午前中、かなり細々した点まで含めまして、スタッフ弁護士の仕事のやりよう、そういうところの話をさせていただきましたので、そういうスタッフ弁護士、江差と旭川以外にも活用の可能性があるのか、別にそれに限りませんので、午前中のお話を聞いた感想でも結構ですので、パネラーの方に御意見をお伺いしたいと思います。

     では矢野先生、何かございましたら。

    ○矢野 旭川の事務所の構想と、それから江差の構想とお聞きしていまして、非常に共通の悩みというか問題点があるのかなということも感じましたし、また他方で、それぞれの地域の状況に応じて問題の所在も違うのだなということも感じましたので、そういう観点から少しコメントしたいと思うのですけれども、先ほど大窪先生の話などでも、旭川の本庁にスタッフ弁護士が配置された場合に、大変ですよと。支部の仕事などを兼務していろいろやっていくという、そういう暇というのは本当にあるのだろうかと。本庁業務に専念するということをやっぱり基本に置くしかないのではないかというようなお話もありましたが、私どものところで考えますと、札幌エリアでは、司法過疎地が、札幌市を基点に考えますと、四方八方に点在をしているわけなのです。先ほどお話ししましたように、夕張もありますが、今度は倶知安、そして岩内という方に飛びますし、また、浦河、静内、それから伊達より西というようなところに、四方八方に点在しているという特徴がございまして、仮にスタッフ弁護士が本庁に司法過疎対策のために配属されるとした場合には、こうした点在する過疎地にスピーディに飛んでいって仕事をしていくということを実行していこうと思いますと、都市部での弁護士としての本来業務というのか、普通の業務の国選扶助事件のノルマを札幌でもやりながらそれを進めていくというのはほとんど不可能な状況です。つまり今日は倶知安、明日は伊達、その次の日は夕張へ行くんだぐらいの、現実に可能かどうかは別にして、そんなふうなことで動いてもらわないと、過疎対策にはならないということになるわけですけれども、そんなことが、お聞きしたい面もあるのですが、スタッフ弁護士で普通の都市部での業務のノルマを課さないでやっていただくことが可能なのだろうか、そういうシステムになっているのだろうかというふうに思いました。もし同じようなノルマを、都市部の仕事もしなければいけないということになると、都市部に普通の弁護士が1人ふえたのとそう大して変わらない結果に終わるのではないかということを思います。

    今度は、スタッフ弁護士をどこかの地域事務所に配置をするというような構想で考えてみた場合には、さっきの江差ですと、江差に地域事務所を設けて配置することによって、近隣の市町村をカバーできるような、非常に効率的な動きができる見通しがあるということなのですけれども、先ほど言ったような事情のもとで、例えば夕張に地域事務所とスタッフ弁護士を置いたとして、ここに所属している人が倶知安に行ったり伊達に行ったり云々かんぬんというのは、もうほとんど考えられない、非現実的な話なのです。ですから、やはりそういう地域事務所にスタッフ弁護士を配置するということになると、私どものエリアの場合には、夕張地域なら地域に責任を持って定着するスタッフ弁護士で、経済的な採算が全然見込めないということになっても、地元の司法ニーズにこたえていくためには必要だということで配置するような、そういう弁護士でなければならないのではないかなと思います。それが現実的かどうかわかりません。

    私たちは別の中間的な地域事務所による司法過疎も考えるべきではないかというふうに思ったりもしています。例えばそうした夕張とか倶知安とか伊達とか、そんなところに事務所の物的な設備を置いていただき、職員を配置していただくと。そういう地域の事務所に、スタッフ弁護士ではなくて、都市部の弁護士がローテーションで巡回して、相談や、あるいは事件業務に従事をしていくような、そういうふうなジュディケア制での地域事務所といったことも考えなければいけないのではないかということも思っているわけですけれども、地域によって実情も違うし、スタッフ弁護士に対するニーズの内容も本当に違ってきているのだなと。本部では、そうした地域の特性に基づいた具体的なニーズ、実情を十分聞いていただいて、柔軟性のある、幅の広い対応をお願いしたいなということを感想として思いました。以上です。

    ○辻本 ありがとうございます。

     矢野先生が最後にお話しになった、物的な設備を弁護士の不在地域に置いて、そこを契約弁護士が共通して使うというようなお考え、これはいわゆる職員非常駐型拠点という、そんな言葉を僕は耳にしたことがあるのですが、そういうものとはちょっと違うのですか、同じなのか、そのあたりはどうですか。

    ○矢野 今、先生おっしゃったように、職員が非常駐の事務所という概念ですね。今、地域事務所で大体構想されている基本は、弁護士としては常勤弁護士がそこに常勤するなり巡回するなりしてその業務を行うということが基本として構想されているのではないかと思うのです。ジュディケアによる地元弁護士の入れかわりでやっていく地域事務所というのは、必ずしもその範疇に入っていないのではないかと私は思いますので、それはそれとして、そういう考えもあるのだということを御理解いただきたいなと思っているという次第です。

    ○辻本 わかりました。

     岩井先生、今の矢野先生の御理解でよろしいのですか。それとも、既にそういう構想が何か検討されているとかいうようなことがありますか。

    ○岩井 旭川、函館でも、一時巡回型的な位置づけも議論したのですが、巡回型とは何ぞや、非常駐拠点とは何ぞやというところの問題がいろいろありまして、そこをまだ詰め切れていないという中で、旭川につきましては、本所に一応配置をさせていただくと。本所で国選扶助を中心にやっていただいて、ただし、地域の実情の中で4号対応についても一部やっていただくと、そういう形なわけです。ですから、函館につきましても、一時函館本所ということを考え、江差については4号対応ということで、一部そういう方向でやっていただくというようなことでありましたけれども、最終的には江差に置くということで、4号対応はそのままということになったわけです。したがいまして、まだ巡回型については詰め切れていないということでございまして、先ほどの矢野所長のお話については、これからいろいろと検討しながら、どういう方向を模索するのか、非常駐、要するに弁護士が常駐しない中で、どういう形があり得るのか、その辺もこれから業務の状況の中でまた模索していきたいというふうに考えています。

    ○辻本 ありがとうございます。

     小林先生、どうぞ。

    ○小林 矢野先生のおっしゃっておられたのは、箱、つまり物的施設は法テラスで設備を置いて、そこに都市部のジュディケア弁護士が巡回をすると、こういうことですよね。それは、今やっているのは、ひまわり相談センターはまさに箱をひまわり基金でつくって、それに弁護士がローテーションで定期的に回っていく、これは日弁連がやっているもの、それから単位会、あるいは弁連でやっているものを合わせると、今現在294カ所全国にありまして、これは名古屋宣言で全国に法律相談センターをつくるというもとで、弁護士会、日弁連が推進してきて、これはかなりの成果を上げているわけです。問題は、これが今、月々1,500円の我々の特別会費で賄われているわけです。年間で大体3億3,000万円ぐらい入るのですけれども、そのうちの大体半分、1億6,000万円ぐらいがひまわりの相談センターに充てられているわけです。そこはずっとこれから続くのです、設置している限りは。しかし、ひまわりの公設、大窪先生のところなどは、これは開設のときに支援が行われますけれども、それ以外は、ランニングコストは基本的にかかっていなくて、黒字経営をずっとされているわけです。だから、ひまわり相談センターは経費としてずっと、置いている限りは、日弁連は特別会費と言いながら、これからずっと負担をしていかなければいけないという課題があります。しかし、全国津々浦々で、法情報を、要するに法テラスの目的を達するということになると、こういった日弁連の置いているひまわり相談センターは、新たな法テラスの拠点として、これについて、やはり過疎対策の一環として公的な支援を出していくというようなことも、今後考えられるべきではないかというふうに思います。そういった視点を今矢野先生は指摘されたのだろうと思うのです。それはあり得るのではないかと僕は思います。しかし、法務省の方を含めて、財務省も含めて、これは日弁連がやっているのだったら、民間がやっているものは民間がどうぞおやりください、民の足らざるところを補うのが法テラスだと、こういう視点ですから、日弁連が頑張っている限りは、それはもう弁護士会がおやりになっていただいたらいいのではないですかと、こういう理屈がいくわけで、やはりある程度の段階になると、日弁連もそこはしっかりとした長期展望を持って国と折衝して、そこの住民のサービスという視点から、やはり民間資金にずっと頼るのではなくて、やっぱり公的な資金で対応するのが本来の姿だということを言っていく必要があるのではないかというふうに思います。

    ○辻本 ありがとうございました。

     釧路の今先生、今までの議論を受けて何か御意見、御感想ありますか。

    ○今 先ほども話しましたけれども、今、矢野先生から話があったのと基本的には同じような感想です。釧路の場合にも、やはりそれぞれの地域に必ずスタッフ弁護士ならスタッフ弁護士が1人必要かというと、現段階ではそれほどの必要はないけれども、例えば0.5人が必要で、0.3人が必要でというところは、釧路の広い管内に幾つかあるというときに、それぞれのところに1人までは置けないのだということがある。その中で、釧路に置いておいて、いろいろな地域の必要に応じて派遣できるというような仕組みは是非必要なのだろうなというふうに考えます。先ほどのお話で、本庁に置くものはそういうことが可能なのだという仕組みを聞いて、その方向で少しこちらは検討していかなければいけないのかなという感想です。釧路はずっとこの間、現在42人まで会員が増えております。来年、45人くらいまで増えるということになっておりますので、相当のところをカバーできるようになってきておりますけれども、やはりこれから議論になるかもしれませんが、平成21年の問題についてはまだ十分ではないだろうというふうに考えられますし、それらを含めて、どんなものをつくっていくのかということが大事になるのではないかなというふうに思います。

    それと同時に、先ほどの感想でやっぱり気になりましたのは、当番弁護士であるとか、それからスタッフ弁護士が、弁護士会の会員としての位置がどの程度のものを考えておられるのかということが僕としては大変気になったということです。やはり我々はスタッフ弁護士をそれぞれ迎え入れるということになる。それはあくまでも弁護士であるし、会費を払った弁護士会の一員なわけですね。弁護士会としては、弁護士会の一員に対して、同じように義務を果たしてもらいたいし、権利を行使してもらいたい。そういったことをできるだけ可能なものとして支援センターの側も保障することによって、初めて大変有能なスタッフも集まってくるのではないかと思うのです。それを、弁護士ではあるけれども、あれもできない、これもできないということを制限されればされるほど、僕は有能なスタッフが集まってこないと、この辺が大変危惧する。

    それから、やっぱり今ある弁護士会と支援センターとの間の溝が、そういったものを通じてますます深まることが僕は大変心配だと思っているのです。例えば多くの勤務されている普通の弁護士も、やっぱりボスの理解を得て弁護士会活動に専念というか、一生懸命尽力しているところがあるわけです。支援センターもやっぱりそういったものとしてスタッフ弁護士をきちんととらえてほしい。本来業務に支障のない範囲ということをあまり大きな声で強調しない方がよいのではないかという感想を持ちました。以上です。

    ○辻本 ありがとうございました。

     嶋田先生、いろいろとこちらからお願いして御発言いただきましたけれども、何か補足がありましたらお願いします。

    ○嶋田 まず当番弁護士の件ですけれども、有償行為ととらえられないということが問題だったと思いますけれども、これは私選弁護を受ける前提の行為であって、例えば民事の有償業務であれば事務所に相談に来るけれども、勾留されている刑事被疑者はおいでになれないわけだから、こっちが出向かなければいけない。私選になる前提行為だろうというふうに考えたらいかがかな、というふうに思いました。

    それからもう一つ、有償業務で対価の相当性というのが問題になるのだということで、これは業務の相当な対価という場合の相当というのはどういう解釈なのかよくわかりませんけれども、一方では、依頼者からいただくお金として、法外なものであってはいけないという問題と、他方、他の弁護士とのレベルの報酬を考えて、法外に安くないという問題も、両方あり得るのではないかというふうに思って、なかなか難しいのかなと思いました。

    それから、独立簡裁に、あの地域に4号業務対応事務所というも問題ですけれども、これはやはり支部があるかないかというのは、結構昔からの歴史的ないきさつ、例えば行政の単位とかが昔はそういう単位の方が便利だったとか、人口もあったとかということになっているけれども、現代では必ずしもそういう形にはなっていない、昔の形が残っているという面も少なくないわけで、例えば八雲を考えると、経済力としては江差よりもはるかに大きいし、人口もあるというようなことで、函館との距離も八雲の方が遠いというようなことがあると、当然それは4号業務対応事務所の対象として考えるべきだと。それに支障のある計画等があるなら、やはり早急に、もちろんスタッフ弁護士の数の確保等の関係もあると思いますが、見直していただくべきではないかなと思います。

    さらにそのときに、函館ではないわけですけれども、ひまわり公設事務所との関係とか、あるいは他地域で1人、一般の弁護士がいらっしゃるというようなときには、それはまたそこでいろいろ地元でまた考えればいいので、やっぱりそれぞれの地域の実情を柔軟に考えていただくというふうにぜひともお願いをしたいと思っています。以上です。

    ○辻本 ありがとうございます。

     中村先生も何かありましたら補足してください。

    ○中村 午前中に扶助の爆発という懸念が若手の間に深刻な影響を投げかけているというお話をしたのですが、コールセンターと、それから全国一律の扶助の基準によってそういうことが起こるのではないかと。大窪先生からも厳しい御指摘があったように、旭川のスタッフ弁護士は支部にちょっかい出しているような時間はないのではないかということになるわけですね。現にそういうデータはあるわけで、旭川において法律扶助事件は平成15年に473件という実績があったのですが、翌平成16年には314件に減ってしまったのです。いわゆる扶助疲れが起こったわけです。ひどいときには毎週のように相談援助を依頼するファックスが流れてくるということで、とてもこれではやっていられないということで、どんどん扶助から脱落していく人が出てしまったわけです。それで基準を絞るなり、いろいろな対応をせざるを得なくなったというようなケースもあるわけです。ひまわり事務所で支部に弁護士が増えたけれども、本庁になかなか若手弁護士が、釧路さんや函館さんと違って、層として入って来なかったというような事情もあるわけです。ただ、この辺は非常に流動的な要素もあって、今年幸い旭川は増員がある程度できそうです。扶助の爆発が起こるといっても、予算の枠があるではないかということもあるのですけれども、その予算枠で処理しきれない分をスタッフ弁護士さんにお願いするというようなことで処理せざるを得ない事態というのは出てくるかもしれないなと思っているわけです。ただ、そうは言っても、スタッフ弁護士の事務職員が1人しか配置が予定されていないということになると、クレサラ事件を大量に処理するのはやはり困難ではないかという問題にぶち当たってしまう。そうすると、一般事件をスタッフ弁護士に多数やってもらうということになると、スタッフ弁護士が疲弊しはしないかというような心配もしたりするわけです。その辺は非常に流動的なところがあって、スタッフ弁護士を、例えば増員を求めるかどうか、あるいは4号を考えるのかどうかというようなことは、これから様子を見ながら、民主的に会内で討論して決めて行くしかないということなのだろうと思っております。

    ある若手の方からは、旭川弁護士会にはビジョンがないとおしかりを受けたわけです。スタッフとひまわりと両天秤にかけて様子を見ているわけです。函館は4号でいったと。釧路はひまわりでやっていると。札幌はジュディケアでやっていると。旭川も10年先を見通したビジョンを出せと言われているのですが、そんなビジョンが出せるぐらいなら、私は田舎の会長にくすぶっていないわけで、日弁連会長でもやっていると思うのですけれども、それぐらい難しい問題なので、しばらくは様子見で、若手の皆様の御意見も伺いながら、しばらく迷走のように見えるかもしれないけれども、いろいろ頑張ってみたいと思っている今日この頃でございます。

    ○辻本 ありがとうございました。

     ちょっと身内の話になってしまったかもしれませんが、貴重な意見ありがとうございます。

    それで、午後に予定している2番目のポイントとして、資料の中にも一番終わりに質問書というのを綴じてあります。これは法テラスができることで扶助の事件が増える、そうするとこういう問題が生じる、特に支部にはこういう問題があるというようなことを、大窪先生が旭川弁護士会に寄せた質問書です。この点について、大窪先生、こんな点が懸念されるのだというところを簡単に御紹介いただければと思います。

    ○大窪 こちらの質問書の内容なのですが、今日、シンポジウムということで、私に与えられる時間がほとんどないということもあらかじめわかっていましたので、主張要旨についてはこの質問書という形で出させていただいています。

    ただ、この質問書なのですが、一部省略されている点がありまして、それについてちょっと解説をしておきますが、このシンポジウムに出す前に、この質問書というのは旭川弁護士会の方に出して、それをそのまま資料として出すということを提案したのですけれども、もともとの質問書の内容に、はっきり言ってしまうと、東京と、それから札幌、それから旭川、紋別について、収入格差があるのではないかと。そのことについて具体的な数字を挙げた資料を出そうとしたのですが、そういった具体的な数字を挙げて収入格差を出すと、地元の人に対して配慮がないのではないかと、そういうふうな指摘が辻本先生の方からありまして、それで、私の方では、主催者の方がそういうのだったらしようがありませんねというふうなことで、出さなかったわけですが、実際には収入格差はあると思います。客観的データは出さないというお約束ですので、数字には出しませんけれども、やはり東京ですとか東京近郊に比べて、やっぱり北海道の年収が平均的に低いのは事実ですし、さらに札幌と旭川であれば格差はあります。さらに紋別についてはもっとあります。そういったことがあるので、扶助の問題を論ずるときに、そういった収入格差の問題を私は避けて通れないというふうに考えています。

    質問書の内容について、書いてあるので、もうちょっとわかりやすく説明しますと、現在、扶助を行っていますが、扶助についてはだんだん法テラスさんの方から情報が開示されてきまして、給付基準についても、資力基準、弁護士に与えられる報酬にしても、それから資力基準、どういった人たちが相談で扶助に適用されるか、代理援助で適用されるかということについては、原則として変わらないというふうなことはもう明らかになっていると思います。

    そうするとどういった問題が起こるかということで、資料6の5ページのうちの事務所のデータをもとに、もう1回ちょっと見ていただきたいと思うのですが、こちらの方で、受任件数の一般民事については3分の2近くを債務整理が上げているというふうなことを申し述べました。この債務整理がなければ、当然うちの事務所は経営的にもやっていけないのは当然なのですけれども、今は幸いにして経営的に問題があるという状況はありません。それは数的な問題があるということと、あと、今、過払い金の収入が、過払い金自体私はあってはならないと思いますが、一応事件としてはあると。解決にしたがって収入があることは動かない事実です。なので、現在において経営は成り立っている状態です。ですが、債務整理の相談者の方を見ますと、扶助の資力基準、単身者18万2,000円、家族になるとそれ以上、4人家族ですと29万円そこらですけれども、そういった方々が紋別の事務所に相談に来ているかというと、はっきり言って相談者のほぼ全員、一部公務員、例えば看護士ですとか、そういった例外はありますけれども、一部の例外を除いて、ほぼ全員が扶助基準の中に収まってしまいます。うちの事務所でもそういった相談状況、扶助事件はそれなりにやっておりまして、昨年は交代してから、大体5月ぐらいから業務を始めているのですけれども、それで8件、扶助事件として受任しておりまして、今年に入っては、今年は初めからやっておりますから、もう既に13件を扶助事件として受任しています。

    そういった状況なので、もともと今も扶助事件は、私はそれなりにはやっているというふうに考えていますが、これが仮に法テラスが順調に運営を開始しまして、多分ひまわりということがありますし、支部の弁護士ですから、法テラスを通して相談が流れてくると。例えば紋別の市役所から法テラスの方に相談が流れていく、それでうちの方に振られていくと、そういうふうなことになると、恐らく債務整理の受任者はほぼ全員が扶助でやれというふうなことになると思います。そうしますと、債務整理の事件については、大体収入にすると2分の1から3分の1に落ちてしまうということになると思います。紋別のひまわり事務所も、当然一般の事務所には違いないわけですから、経営の問題があります。債務整理からの収入が3分の1まで落ちてしまうと、これは事務所の経費が出ません。私の事業報酬を除いた、事務局ですとか家賃ですとか、そういったものでもうなくなってしまうと。仮に2分の1であっても、私の収入も考えると足りないので、ひまわりですから、当然、日弁連の方に申請を出して、援助してくださいというふうなことになることが簡単に予想できます。これはもう明らかにわかっていることです。

    そういうことで、ただ、ひまわりの現状をまず説明しますと、特別会費の増額というふうな議論というのはもう成り立たない情勢にあります。LC委員会の方でも、既に特別会費については、ある程度ひまわり事務所の新規開設が落ちつきまして継続というふうなことになると、特別会費を値下げできるのではないかと、そのことを前提に議論を進めているところです。ですので、仮に、私の事務所は一般的なひまわり事務所だと思うのですけれども、そこが経営できなくなりましたから援助をお願いしますと簡単に言える状況でもありません。各地のひまわり事務所がもう60カ所以上も超えているわけですので、それがやったら、今、特別会費では到底負担できないということは火を見るより明らかなことです。

    そこで、法テラスの方ですべての国民に対して扶助事件を、扶助基準に達している方にはその機会を与えるというふうな、権利を与えるという趣旨自体、そういう趣旨自体は私も別に争うところではないですし、むしろそういったことで十全なサービスを受けるということが保障されるのであれば、それは何も問題なかった話です。ところが、支給基準についても資力基準についても、従前と同じであると。予算についてもそれに対応するものしかないと。それで門戸を広げて機会を与えることは、私はできないと思っています。では誰が被害を被るのかというと、私のような若手、支部の弁護士にはかわりませんけれども、やっぱりこういった債務整理の事件を多くやっているような若手弁護士が、収入の道が閉ざされるというふうな話にもなってきますし、それでもうパンクするということになれば、今度は一般国民が扶助の権利を、何で国の方でやれると言っているのにできないのかというふうなことになってしまうと私は考えていますので、全くいいことは何もないと思います。予算がないのに、なぜそういった大風呂敷を広げているのでしょうかというふうに私は思うのです。

    なので、ここの意見書の方では、それを回避するためには、私はもうそれは運営で改善をするしかないと。できないものはできないというところを認めて、最善の策をやらなければいけないのではないかと。紋別ではこれくらいの扶助事件しかできないのですけれども、門戸を広げてしまう以上は、やはりやらざるを得ない状況になる。そうすると、紋別の場合は、紋別はまだひまわり事務所ですから、援助申請すればいいかもしれないですけれども、定着はできないです。実際、内輪の話と言われるかもしれませんけれども、このことが原因で、名寄公設の笠原弁護士は定着を断念しました。私もこのままでは、紋別の定着も最初は考えていたのですけれども、難しいだろうなというふうに現在は考えています。定着しなければそれでいいじゃんという話は、私個人についてはあるし、いいかもしれないですけれども、今後のひまわりの問題、それから我々の北海道は当然過疎地、全体が過疎地と言っても過言ではないですから、本庁も含めてやっぱり大問題だと思うのです。そこで運用について何も協議をしないまま突入していくことについて、私は非常に懸念を覚えていますので、それで、旭川弁護士会とも協議したりとか、質問書を出したとか、そういったことがあります。

    ○辻本 実際にどの程度増えるか分かりませんが、法テラスが始まることで、法律扶助の知識が広まって、申し込みが増えるだろうと、それはもう間違いない話だろうというふうに私も思っております。現実に法テラスの予算がそんなに豊かではないのですね。法律扶助の予算で言うと、前年比12〜13%増くらいしか予算がないということのようなのですが、それで、仮に法律扶助の申し込みがたくさん来て、地元の弁護士ではとても受けきれないというようになった場合、扶助の規定を形だけ見ると、多忙ということで扶助は受任できないということで、断ると。地方事務所長は、その地域の弁護士が皆受けられないということで断った場合には、援助取り消しの決定をすると、一応規定上はそういう形になっています。ですから、質問書を突きつけられた地方事務所長としては、形の上ではそう答えざるを得ないというような形なのですが、かなり厳しい問題であるというふうには理解をしております。具体的に予算不足みたいなケースのことまで法テラスの方で何かお考えになっているようなことが、岩井先生、そういうことは何かありますでしょうか。

    ○岩井 平成18年度の予算につきましては、扶助協会の今までの実績を踏まえ、それにどの程度上乗せするかという中で、扶助協会のいろいろとお調べいただいたものをベースにやっていたというふうに聞いておりますけれども、そういう意味からすると、予算に一定の限界があると。ただし、平成18年度の下半期、来年の3月までの業務については対応できるだろうという見通し、扶助協会でのいろいろな議論聞いていても、何とか対応できるだろうというふうには見ておりますけれども、ただ、こればかりは、先ほどのコールセンターでどの程度潜在的な需要が掘り起こされるのか、これはちょっとわかりませんので、それで足りないといったときにどうするかについて、まだ詰められるというところまではいっておりませんけれども、ただ、いずれにしても津々浦々、法の支配を徹底して、法的サービスをするという理念がありますので、それにこたえるべく、また本部としてどうするか。ただ、予算ですので、こればかりはなかなか大変だなという問題でございます。回答としては、持ち合わせていないというような状態です。

    ○辻本 この点について何か、特に今、御発言したいというものがあれば、会場の方でも結構ですので、もしあれば。よろしいですか。

    大窪先生、どうぞ。

    ○大窪 そうすると、続けて申しわけないですが、予算のベースがないというふうなことなにると、これはどこかで、はっきり言ってしまえば、センターの方で相談を打ち切るというふうなことに私はならざるを得ないのではないかというふうに思うのですけれども、そうすると、センターの方で相談をやろうとしたけれども、結局はたらい回しにされてしまうという話になってしまうと思うのです。それを予算不足のことで片づけられるのかどうかというふうなことを私は非常に疑問に思っていまして、結局のところ、そこで何らの対策もしないと、予算不足ゆえにセンターの方ではやらないというふうなことであると、結局一般国民の方は、やっぱりセンターはあてにならないというふうなことで、やっぱり司法に対する信頼が失墜してしまうというふうに思うので、私は、裏づけがないというふうなことであって、しかも平成18年も、多分平成19年も、従来の実績をベースにしているのであれば、やっぱり従来以上のことができないというふうにセンターの方で言わざるを得ないのではないかと思うのです。それを言わずに進めていくというのは、言わずにいっておきながら、それで機会だけふやすということであれば、やっぱりそれは国民に対して詐欺を働いているのと同じではないかと思うのですけれども。

    ○辻本 小林先生、お願いします。

    ○小林 予算を確保しないでアクセスをふやせとは、これは支離滅裂でけしからんと、確かに日弁連はそういう気持ちはあるのですが、過去、会場におられる久保井先生が会長のときの最終年度に、前年度、2001年から2002年にかけて、2002年に民事法律扶助法ができまして、どんどん需要が拡大しました。それで窓口を閉鎖し、あるいは翌年度に持ち越すと。受付だけしておいて、翌年度に持ち越すという形で、扶助協会は大変苦労したわけです。本林執行部になって、財政をふやせという緊急対策本部を日弁連で緊急に組織して、与党、野党含めて予算の拡大要求をしたわけです。昨年度は45億円の民事法律扶助予算になっているのですが、平成18年度は扶助協会と支援センターになるのですが、24億円と24億円で大体48億6,000万円ぐらいの予算が一応ついているのです。大体1割弱ぐらいは増加になっているのですが、それでも1割前後ぐらいのものですから、爆発的に、もし2割、3割の増加率ということになると、当然、予算不足になってくるだろうと思うのです。弁護士会として、予算がないから援助はしないと。そうしたら、弁護士が自腹を切ってでもやるのかというと、それはなかなか難しいのです。しかし、日弁連会則の、皆さん御承知でないかもしれませんけれども、89条というのが実はあるのです。その中には、要するに資力の乏しい者に対する法律相談、訴訟救助については、弁護士会の費用においてこれを行うと、こういう規定が残っているのです。これはびっくりするような規定ですけれども、現在、実際あるのです。だから、これが民事法律扶助のときの報酬を上げろという話になったときに、これを法務省は持ち出してきまして、安くていいはずだと。なぜなら、会則にちゃんと書いているではないですかと。弁護士会はみずから無料でやりますよということを言っているのだから、お金がもらえるのだったらそれだけでもありがたいと思わなければいけないのではないかと、こういう理屈を持ち出してきたのです。だから、これはどこかの、東北弁連でもこの規定を改正すべきだというような意見が今回出ていたと思うのですけれども、これは悩ましい問題ですね。悩まして問題ではありますけれども、ただ、当面のお金がないからといって、現実に今困っている人に対して救助の手を伸ばさないというのは、弁護士会として本当にそれでいいのかということは、これは問われる課題だと思います、対国民に対して。それは先ほど大窪先生がおっしゃったとおりだと思います。

    それで、問題は、そういったので、法テラスに行く事件をある程度調節しながら、扶助要件を満たす人に対しても私選で受けていくと。そして、着手金、報酬金については分割で対応するとか、柔軟な対応をして、できるだけ需要をジュディケア弁護士の中で吸収しながら対応していくということも必要ではないかと思うのです。御承知のように、日弁連、弁護士の職務基本規定にも、法律扶助制度の説明というのがありまして、これはもちろん努力義務としてなっているのですけれども、資力の乏しい者の権利保護のためには、弁護士として扶助制度があるということを説明しなさいということを言っているのです。これは直ちに受任義務があるということまでは言っておりませんけれども、やはり受任の方向で弁護士としては考えろということが前提に今なっているわけですよね。

    そういうことで、予算をつけない国が悪いということは当然なのですけれども、やはり現場にあるからといって、そこにある危機、需要を見過ごす、見捨てる、こういう態度は弁護士としてはあってはいけないだろうと思うので、それには、現実に対応能力の範囲内では全力を尽くしながら、やはり実際我々はこうやっているのに、国はどうするのだということで、それを運動の力に転化をしていくという、そういった姿勢が今後の弁護士、弁護士会としてのとるべき道ではないかなという気がするのです。以上です。

    ○辻本 私の方からもちょっと一言。あまり司会がしゃべるのも何なのですが、やはりこの問題、弁護士の数が少ないところほど深刻だと思います。弁護士の数が多ければ、非常事態が生じても、一人一人が余分に背負わねばならない重荷も小さくて済みます。ひまわり弁護士の行くような司法過疎地で扶助事件があふれた場合にどうするのだろうというのは、本当に心配し出したらきりのない話だろうと思います。

    先ほど私は、規則上は、受け手がいなければ御免なさいをするのだという規定になっていると申し上げましたが、現実に今、小林先生がお話しなされた、扶助協会で扶助事件がさばききれなくなったときの対応として、受付停止という措置もとられたところもありますが、旭川では第2基準、より厳しい扶助基準を用いて、困っている人がたくさんいる中で、さらにお困りの方、中でも困っていらっしゃる度合いの高い人だけは最低限扶助の援助を続けようと、受け付けを打ち切ることなく、そういう形で対応しておりました。こういう対応が法テラスでできるかどうかについては、規則を見てもよくわからない。ちょっと難しそうだというふうに読むのが普通かもしれないのですが、ただ、予算不足で受けきれないというようなことは非常事態ですので、非常事態になった場合にはそういうこともお考えいただきたいということを、地方事務所長としては法テラスに上げていきたいと。規定上は、財政難の場合の業務方法書の規定というのも実はありまして、業務方法書34条2項というのがあって、地方事務所長は、センターの財務状況その他の事情を勘案し、理事長が別に定めた基準により、援助不開始決定をすることができる。これは援助不開始決定ですか。すみません、間違えました。ただ、非常事態に陥った場合の対応については、やはりきちっと地元の意見をまとめて、中央に上げていくというような努力が必要だというふうに考えております。

    この点はこのくらいで勘弁していただいて、最後に一つ残っているのが、これは旭川が一番深刻な問題なのですが、要するにゼロワン解消、ゼロワン解消と言っておりまして、うらやましいことなのですが、釧路弁護士会は全支部に二人以上の登録弁護士がいらっしゃる状況であります。旭川は、実働の数としては全部が一人という四つの支部でございます。日弁連の過疎対策も、法テラスの過疎対策も、ゼロワン解消という表題を掲げておりますので、平成21年の被疑者国選弁護本格化のことも考えれば、今のままでは難しい。何とかしなければいけないのだけれども、どうできるのかというあたりについて最後に少し御意見を伺って、しめたいと思います。

    まずよく分からないのが、4号事務所がある過疎地域に二つ作られるということは、これは想定されているのかということなのですが、小林先生、これはどうなのでしょう。

    ○小林 今はすぐには、もちろん手持ちのスタッフが今非常に少ない状況ですから、4号対応地域事務所を一つの支部管内に二つ置くという余裕はないと思います。しかし、支部といってもものすごく範囲が広いのですよね。だから、例えば独立簡裁のゼロワンはいっぱいあるわけですよね。独立簡易裁判所は全国に184ありますけれども、そのうち法律相談センターも置かれていないというのは130ぐらい、まだ全国にあって、いわゆる独簡のゼロワンというのはこれからの課題で、今、地裁支部のゼロワンマップは徐々に解消して、あとゼロは一つ、ワンは33で、40くらいになりましたけれども、独簡のゼロワンは180幾つあるわけです、弁護士がいないところが。だからそういう問題は徐々に、法テラスとしても、今後、第二弾の過疎対策としてはやらなければいけないと思います。だから、当然、今は人数がいないからできないけれども、供給がある程度可能になって、そして地域に需要があるようなところはいっぱいあるわけですから、二つ置くということも今後は考えられると思いますし、考えていかなければいけないというふうに思います。それは法テラスも当然今後考えられるだろうと思います。

    ○辻本 ありがとうございます。

     もう一つ、旭川で具体的に問題になるのが、3カ所の地裁支部にはひまわり事務所が1つありますので、もう1つ事務所をつくるということを仮に考えてみてどうだろうかということで、大窪先生、さっきお話しになっていたような扶助事件をどうしても受けきれないみたいな話になったときに、もう一つひまわり事務所をつくるのか、もう一つ4号事務所をつくるのか、仮定で考えていただいて、どういう問題がありそうだという御意見がありましたらお願いしたいのですが。

    ○大窪 仮定の前提条件がいろいろあり過ぎるので、仮定と言われても困るところはありますし、支部によっても違うと思います。ただ、私、紋別ですので、紋別の例で言ってみるしかないだろうと思います。紋別の場合ですと、支部管内に4万2,000人の人口がいますが、ひまわりのある支部としてはそんなに多い人口があるわけではないです。そのことをまず前提に置いていただきたいのですが、それで、仮にうちと司法支援センターの4号事務所が紋別市内にできたとします。そうすると、恐らく市役所関係の相談、公的機関の相談というのは、恐らく一回法テラスを、4号事務所を通すということになるだろうと私は思います。市役所の感覚としては、やはり公的機関にまず回す、アクセスポイントに回すと。それで受けきれないものをひまわり事務所に回すというふうなことになると思いますし、その際に、先ほどの扶助基準の話に戻りますけれども、やはり基本的に全員扶助でやるというふうなことに多分4号事務所の方ではなるでしょう。そうすると、同じような狭い地域において、ひまわり事務所だけ従前のとおりやっているということは事実上無理でしょう。競争としては、やはり4号事務所と同じ形でやらざるを得なくなる。そうすると、大体全件扶助事件でやらなければいけないということになります。問題は、その場合、ひまわり事務所の経営ができるのかというと、先ほどお話ししたとおり、うちは無理だと思いますので、援助金をいただくことになります。ただ、援助金をいただく話になったときに、日弁連の方でそれが許容される状況にあるのかというと、私は心もとないと思いますので、4号事務所との共存というのは、今のままやっていくという前提ですと、私はかなり難しいのではないかという認識があります。やっぱりアンフェアな競争下でやらざるを得ないというところですので。過疎地においては、札幌ですとか東京ですとかの大都市とは違って、実際に民業圧迫というのは、弁護士とか司法書士とか、そういう限定された分野のところだけではないのです。具体的なところまで言うのは、紋別市内の話ですのでやめますけれども、やはり一業種、二業者しかない中で、一つが官の援助を受けていて、そちらの方が繁盛をして、片方が経営危機に陥っているというような実例は、具体的な名称は挙げませんけれども、無い訳ではないです。それは当然だと思います。パイが少ないところで、アクセスの機会も限られているところということになれば、やっぱりそうなるでしょう。そうすると、ひまわり事務所についてはいずれ、発展的かどうか分かりませんけれども、無くなって、4号事務所だけでお願いしますということに恐らくなるのではないかと予測しております。

    先ほどのシンポの初めの方で、遠軽について、私、賛成か反対かというのを留保しました。それはこういった事情と無関係ではございませんで、遠軽は50キロ離れていますので、そこは同じには論ずることはできないと思いますけれども、やはり基本的には法テラス基準の形で事件を受けるということが基本になっていくのではないかと思います。そうすると、少なくとも今の業務形態でやっていくことは難しくなるだろうと、そこまで突き詰めて私は議論をすべきだと思っていました。ただ、現時点において、LC委員会においても、そういったことは議論されたことは全くありませんでしたので、そこら辺はどのように考えているのか、逆に知りたいと思います。

    ○辻本 ありがとうございます。

     シンポジウムの最初に、資料3の司法支援センターだよりのところで、新しくできる4号対応事務所の箇所、どこにつくることになりましたというお話があったかと思います。それを見ますと、江差、それから壱岐、これはゼロ地域ですけれども、鹿屋、倉吉、佐渡にも弁護士事務所があったかと思います。そういうところに4号対応の地域事務所が実際にできるようです。今、大窪先生からかなり悲観的な予測が語られましたけれども、ただ、地域差がありますので、必ずしも紋別と同じ状況かどうかはわかりませんが、何らかの形で既存の法律事務所と4号事務所が折り合いをつけていかなければならない状況、10月には現実にそのような状況になる地域があります。このシンポジウムをする前に、鹿屋ひまわり事務所の大山弁護士に連絡をとって、短いお話をしたことがあるのですが、鹿屋はもともと地域人口の多いところですから、心配よりも、少しほっとしたみたいな気持ちの方が強いけれども、ただ、そのような地域でも、やはりどのように折り合いがつけられるのかについて、突き詰めて考えると不安な面もあるというようなことを大山先生はおっしゃっておりました。このあたり、法テラスができたということで、一体その地域の法的な需要がどういうふうに変貌を遂げるのかという、非常に難しいテーマで、ちょっとこれ以上の突っ込みは難しいところかと思うのですが、ただ、目前に、現実にそういう状況が発生する地域が全国の中で何カ所かあるということは、私も注目しておりますし、今後の司法過疎対策を考える中で大変重要なことが行われようとしているのだという認識は持っております。

    あと時間が数分間残りましたので、ぜひこの場で御発言をという御希望がありましたら、どうぞ挙手をいただければ、御発言していただいてよろしいかと思います。

    旭川の小林先生、どうぞ。

    ○旭川弁護士会小林史人 旭川の小林といいます。

     何でもいいのでしょうか、聞くのは。

    ○辻本 はい。ただ、時間がありますので、できるだけ手短にお願いをいたします。

    ○小林史人 弁護士会の中でも議論したのですが、法テラスと契約する際の話なのですけれども、契約のときにちょっと考えなければいけないなと思ったのは、扶助の事件を受任した後の話なのですが、過払い金の発生が後で発覚したと。その後に扶助を取り下げて、それで私選で受けた形にすると、そういう扱いをしている事務所が結構あるので、そういう扱いは果たして許されるのかということをお聞きしたい。

    ○辻本 その点、先週の金曜日に、旭川弁護士会の民事法律扶助契約の説明会のときに問題になりまして、私の方でペーパーをつくって、今日弁連に問い合わせをしております。回答は近いところでいただけるものと考えておりますが、今そちらの方に照会をかけて、正式に回答いただいて、会員の皆さんにはお答えしたいと思っていますので、ちょっとお待ちいただきたいというふうに思います。

    ○小林史人 もう一点ですけれども、法テラスと契約した場合は、法テラスを経由しないで来た相談者に対して、扶助の説明をせずに受任をすると、そういったやり方はOKなのでしょうか。説明義務とまでは言わないけれども、事実上、説明をしなさいということになるのでしょうか、契約をした以上は。

    ○辻本 その点も合わせて書面で問い合わせはしておきましたが、どうですか、岩井先生、小林元治先生の方で何かコメントいただけれる部分がありますか。

    ○岩井 ちょっと私の方もそういう微妙なところについては、別に担当がおりますので、今、辻本先生が言われたように、正式に回答を求めているということでございますので、そちらから多分書面で回答するということで御容赦いただきたいと思います。

    ○小林元治 弁護士の職務基本規定上は、資力の乏しいという扶助要件に該当するということがわかった場合は、説明をしなければいけないということになっているのです。これは責務規定ですから、職務基本規定の確か33条だったと思いますけれども、ありますので、これは法テラスを通さないで一般事務所にお見えになった人、それが扶助基準に該当するという場合は、例えば小林先生が事務所相談登録弁護士であれば、事務所の相談を扶助相談に切りかえて実施し、相談費用を請求すれば振り込まれる、こういうシステムになっていると思いますので、扶助との違いをきちっと説明して、依頼者がどちらを選択されるかということはあると思うのです。現行法の仕組みでは、そういう説明になるのではないかと思います。

    ○小林史人 後で書面で回答が来るということは間違いないのですね。

    ○辻本 はい、それはお約束いたします。

     それでは、よろしいでしょうか。

     大会が2時半からスタートいたします。実行委員長から2時近くで終われと厳しく言われておりますので、ここらでお開きにしたいと思います。

    今日は長時間おつき合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)

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