○司会(旭川弁護士会飯塚正浩) 北海道弁護士会連合会定期大会記念シンポジウム、「『つくる・ささえる』法テラス・弁護士会・公設事務所のベストパートナーシップを考える」を始めさせていただきたいと思います。
本日の司会は、旭川弁護士会、飯塚が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)
それでは、まず初めに、旭川弁護士会会長、中村元弥よりごあいさつを申し上げます。
中村先生、お願いいたします。(拍手)
○旭川弁護士会会長(中村元弥) 皆様、おはようございます。
シンポジウムのパネリストが口あけのあいさつをするというのも変なものだとは思いながら、一言ごあいさつをさせていただきます。
本日は、北海道弁護士会連合会定期大会記念シンポジウム「『つくる・ささえる』法テラス・弁護士会・公設事務所のベストパートナーシップを考える」を開催しましたところ、早朝にもかかわりませず、かくも多数の方に御来場いただき、まことにありがとうございます。法テラスに対する関心の高さ、これを弁護士会として支えていこうという熱意の強さなのでしょうか。あるいは、ベストパートナーシップなんてできるわけがないじゃないかという突っ込み入れたさなのでしょうか。いずれにせよ、このタイムリーな時期に、開催地単位会として、このシンポを企画してよかったと思っております。
また、従来、定期大会にあわせて、地元会の開催行事につきましては、午前中で終了させて、午後早々から定期大会に入るという日程でありましたところ、今回は午後に食い込んでシンポジウムを行いたいという我々の厚かましい希望を、道弁連理事各位及びその他の単位会において御理解とお許しをいただき、わがままを通させていただきました。まことに感謝に堪えません。この場をかりて改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
思い起こせば、6年前に旭川で開催された道弁連大会では、午前中に「公設事務所が拓く道北のあした」というシンポジウムを行いました。当時はまだ北海道にひまわり公設事務所はなく、むしろ公設事務所に対する冷たい反応が多く、おれの目の黒いうちは公設にうちの会の敷居をまたがせないと、さる大物弁護士が言ったとか言わないとかいう話がありました。シンポの一般参加者だった松本三加弁護士が、北海道で必要とされる地域で開業したいと決意表明をしたシンポジウムでもありました。彼女が紋別で開業したのはその翌年、平成13年の春であります。あれからわずかに6年、あるいはもう6年と思うと、時の流れを思わずにはいられません。
さて、我々の仕事の中で、まだだれも見たことのないものを生み出す仕事というものは、本来、大変わくわくするものであるはずであります。法テラスの業務開始を10月に控え、各地で地方事務所が準備作業を進めておりますし、また、旭川と函館に、いわゆるスタッフ弁護士が配属されることが内定しております。函館のスタッフ弁護士は、過疎地対応型のいわゆる4号事務所で業務に当たることになっております。今まで我々が見たことのない弁護士のビジネススタイルが、この北海道において、しかも二つの異なるパターンで実現することになるわけであります。本来ならわくわくする、生みの喜びを我々の多くが共有していておかしくはありません。
ところが、法テラスに関しては、若手弁護士を中心に、将来に対する不安感や嫌悪感が広がっているのが偽らざる現状であります。もちろん公設事務所のときにもバッシングはありました。しかし、バッシングしていたのは中堅以上であり、若手は好意的に受けとめていたのではないでしょうか。そういう意味では、状況はより深刻とも思われます。我々中堅以上の弁護士としては、こうした法テラスに対する若手の危機感を真摯に受けとめる必要があると率直に認めざるを得ません。それが我々に突きつけられた大きな課題であると思います。今回のシンポジウムがその一助となれば幸いであります。
今回のシンポに当たりましては、旭川地方事務所長である辻本先生の御人徳と献身的な御努力もあり、急なお願いにもかかわりませず、また、大変御多忙の中、東京から法テラスの事業企画本部長である岩井重一先生、そして日弁連司法支援センター推進本部事務局長の小林元治先生をお迎えすることができました。両先生、まことにありがとうございます。この後の基調報告とシンポのコーディネーターは辻本先生にお願いいたします。私は同期ですが、辻本先生を嘘偽りなく尊敬しております。あれだけ献身的に法テラスの発足に向けて努力を積み重ねられながら、若手弁護士には感謝されるどころか、むしろうるさく文句ばかりつけられ、それでもにこやかにそれを受けとめて、ひたむきに、着実に準備を進めておられる、宮沢賢治のような方です。私のように人間のできていない者には到底できないことでございます。私が同じ立場であったら、そんなにがたがた言うのだったら、お前らやったらいいではないか、とぶち切れていたことでしよう。かといって、私は、弁護士は生意気くらいがちょうどよいと思っております。この後、そのような元気な若手の代表もこの上に上がるわけですが、ぜひ実りある議論に火花を散らしていただきたいと思っております。
以上をもちまして、あいさつとさせていただきます。(拍手)
○司会 中村先生、どうもありがとうございました。
続きまして、北海道弁護士会連合会、小寺正史理事長からごあいさつをお願いいたします。
小寺先生、お願いいたします。(拍手)
○北海道弁護士会連合会理事長(小寺正史) おはようございます。理事長の小寺でございます。
きょうは、早朝からたくさんお集まりいただきましてありがとうございます。
実は、例年は10時からなのですけれども、今期は9時半からということで、30分繰り上がった上で、なおかつ午後も2時までということで、法テラスの問題をとことん取り上げたいという旭川会の希望がございまして、我々はやはり地元会が納得いくシンポをやりたいということであれば、ぜひ頑張っていただきたいということで、この企画を全面的に賛成して、こういう企画になりました。岩井先生と小林先生におきましては、実は私ども、進行状況については、適宜辻本先生からファックス等でいただいていたのですけれども、あるとき突然お二人のお名前が上がってきましたので、突然でお忙しいのにどうなるかと、非常に心配したのですけれども、快くおいでいただき、どうもありがとうございます。
きょうは、司法支援センターというのは、これから、ともかく組織はできましたけれども、動き出すのは10月からということで、これからどうなるかということ、皆さん本当に心配しているテーマだと思います。これについて、忌憚のない意見交換をしていただいて、多分午後には一般のフロアからも質問も受けられる時間がとれると思いますので、議論をさせていただいて、それが司法支援センターの新しい発展の一助になればと思っております。どうぞきょうはよろしくお願いいたします。(拍手)
○司会 小寺先生、どうもありがとうございました。
それでは、いよいよシンポジウムの本題に入っていきたいと思います。
ここから先は、旭川弁護士会の辻本先生に引き継がせていただきます。
辻本先生、よろしくお願いいたします。
○旭川弁護士会・法テラス旭川所長(辻本純成) おはようございます。
きょうのシンポの企画、運営の仕事をしてきました、旭川弁護士会の辻本です。
本当にきょうは朝早くからたくさんの方にお集まりいただいて、本当にありがとうございます。
きょうの進行ですが、最初に15分ほど時間をいただいてシンポジウムのねらいみたいなことをお話しさせていただき、10時ぐらいをめどに、午前中のパネルディスカッションを始めたいと思います。午前中のテーマは、主に江差に来ていただくスタッフ弁護士の方、それから、旭川に来ていただくスタッフ弁護士の方の仕事について、どういう規則があるかとか、どういう規制が働くかとか、どういう活動が見込まれているのかというようなことを私の方から聞かせていただいて、地元の御要望なども話していただいて、法テラスにお答えいただくと、そんな中身になっています。ですから、かなり細かなインフォメーションというような話になるかと思います。1時間の休憩を挟みまして、午後は、それを受けまして、幾つかの問題点について意見交換をしようというふうに考えております。昼食休憩、1時間しかございませんので、できたら12時より少し手前のところで中断という形にしたいというふうに考えております。
それでは、私がこのシンポをやらせてくださいと旭川弁護士会と道弁連の方にお願いをした、その動機といいましょうか、そのあたりのお話を簡単にさせていただきたいと思います。
私は、法テラス旭川の所長ということをやらせていただいています。法テラスの準備に直接かかわるようになってから1年半ぐらいがたっています。弁護士の組織と法テラスという組織とは、かなり肌合いが違う組織です。私のちょっと印象的な経験をお話しさせていただきますと、今年の5月31日に東京の四谷で法テラスの地方事務所長の会議というのがありました。全国から地方事務所長さんがお集まりになりました。会議の入り口のところに細長いテーブルが置かれておりまして、そこで法テラスの職員の方が旅費の精算の手続をされておりました。書類を出してくださいとか、印鑑を押してくださいとかいうことを順番に流れ作業で、長い机の端から端まで、事務手続きを済ませて入室する、そんな手はずになっておりました。たまたま、私の前に並んでおられた所長さんが、印鑑を御持参されていなかったのです。もちろん持参するようにという文書は事前に法テラスから送られてきていたのですが、それで手続ができないかというと、そんなことはございません。さすが法テラスでございまして、では印鑑を押していただくかわりに、これこれをお願いいたしますというような御説明を事務の方がされていました。そういうふうにされていたところ、当の事務局長さんは、「私は旅費なんか要らない」と、そういうふうにおっしゃいまして、部屋に入っていかれようとされて、それを事務の方が取りなしていらした、こんなことが私の目の前でありました。
御存じのように、日弁連の会議では旅費の実費精算はしておりません。出発地と目的地がはっきりしていれば、それで標準的な交通費というのが支給されます。自己負担でグリーン車に乗るのも構わないし、特割を使って経費を多少浮かせても構わない、そういう取り扱いになっています。日弁連の会議というのはほとんどボランティア的なものですし、実費精算をしても、事務経費、そのための事務処理経費がかかるので、必ずしも経費節減に結びつくわけではない、こういうことで、日弁連は弁護士の団体ですから、弁護士の仲間がそれでいいじゃないかと言えば、それでいいということなのです。法テラスはそうはいきません。税金でやっているというところがあります。
もう一つ、今年の6月27日に中標津町、28日に北見市で、ひまわり基金法律事務所の開所式が開かれました。北海道の多くのひまわり事務所の弁護士が、仕事を休んで開所式に集まりました。にぎやかな開所式の披露宴でした。そのとき、4号事務所のスタッフ弁護士は、こういう活動ができるだろうかと思いました。仮に、法テラス本部の方に問い合わせたら、「本来業務に支障がない限りできます」みたいな回答になるかと思うのですが、あまり自由に、昼間、平日の仕事を休んで、ほかの事務所の開所式に行くというわけにはいかないのではないか、という印象を私は持ちました。
ひまわり事務所の弁護士は個人経営者です。自分のほかに弁護士がいないという地域、たとえいたとしても極端に数の少ない地域で弁護士としての活動をする、そのプレッシャーの大変さは、傍らにいる私にはよくよく分かっております。あらゆる相談者が来ます。「他を当たってくれ」となかなか言いづらい、そういう状況です。そんなひまわり弁護士のハードワークを支えているのは、地元への貢献と経営の自由にあると私は考えております。過払い金返還請求という追い風が吹いて、ハードワークに見合う収入が得られている、そんな事実もありますけれども、自分の事務所を自分のやり方で経営するという喜びは、格別のものがあると思います。独立したときが一番うれしかった、という先輩の話を聞かせていただいた経験はたくさんございます。
全国には、今、60カ所を超えるひまわり事務所がございます。北海道内には10カ所ございます。ひまわり真っ盛りと言ってもいいかと思います。しかし、裏方をやっている立場としては、心もとない部分も実はございます。ひまわり基金に基づく資金の援助というのは、全国の全弁護士の協力ということなのですが、日弁連で制度運営の裏方をしているのは、ほんの一握りの弁護士と事務局員です。各地で熱心に支援して活動されている方が、私の見る限り、ひまわり弁護士の数と同じくらいかなと、そんな感じがいたします。皆ボランティアです。交代要員の育成を引き受けてくれている養成事務所の先生方、これもボランティアです。北海道弁連はすずらん基金法律事務所をつくって、後継者の確保に努めています。これは全国的に見ても画期的なことだと私は思いますが、ではすずらん事務所一つあれば大丈夫かというと、まだ不十分と言わざるを得ません。
ひまわり基金も年を重ねて、任期を終えるひまわり事務所の弁護士も出てきております。ただ、任期を終えた弁護士の方の様子を見ていると、皆さん大変疲れていらっしゃる。今年、日弁連LC委員会は、任期を終えた弁護士をどういうふうに支援するかということを、一つのテーマに掲げております。
今申し上げましたように、ひまわり事務所は頑張っております。しかし、法テラスの資金力、それから制度の安定性は大変魅力的なものです。反面、公的資金で運営されるための面倒な手続き、それから、全国的に均質なサービスの提供をしなければいけないという縛り、これは相当なものです。弁護士感覚で法テラスにかかわると、本当に守らなければならない決め事の多さに眩暈がします。スタッフ弁護士について、法テラスに雇われ、司法過疎地域では何でもできるけれども、そうでない地域では国選弁護と法律扶助ができるだけの弁護士である、この程度の認識を持っていらっしゃる方は多いと思うのですけれども、では具体的にどのような活動ができる、どのような活動はできない、この細かなところまでイメージできる方というのはいないと思います。私もできていませんでした。このシンポジウムの準備をすることで、法テラスの方々といろいろ意見交換をして、それで初めてそうなのかと分かった、というところがほとんどでございます。
ですので、このシンポで午前中に語られる内容というのは、スタッフ弁護士にかかわる情報の最新のものです。全国でこんな話が聞けるのはこの場しかない、というくらいの真新しい情報でございます。スタッフ弁護士に期待する人も、そうでない方もいらっしゃると思います。快く思っていらっしゃらない方も少なくない、と私は認識しています。ただ、どんな意見を持つにしても、スタッフ弁護士というのが一体どんなことをする人たちなのか、どういう規則に縛られて活動する方々なのか、そういう具体的な中身についてきちっと認識を深めて、今後の議論の参考にしていただきたいという気持ちを、私は持っております。是非このねらいを御理解いただいて、シンポの進行に御協力いただきたいというふうに思います。
それでは、パネラーの皆さん御登壇いただけますでしょうか。
最初に、ごあいさつも兼ねまして、各弁護士会で今までスタッフ弁護士に対してどんな議論があったか、というあたりのことに簡単に触れていただけたらと思います。
それでは、函館の嶋田先生、お願いできますか。
○函館弁護士会・法テラス函館所長(嶋田敬昌) 函館の嶋田です。法テラス函館の所長を命ぜられて、しております。よろしくお願い申し上げます。
函館は、江差にスタッフ弁護士がおいでになるということが内定をいたしまして、その受け入れに向けて、今、やや大変ですけれども、準備をさせていただいております。この受け入れに至るまでは、内定に至るまでは、さまざまなことがございました。函館会内でもございましたし、法テラスとの間、あるいは、少し間接的になりましたけれども、日弁連にも大変お世話になりました。そういう状況でございます。大変さというか、問題点みたいなものは、後の中身のお話になろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○辻本 ありがとうございます。
今先生、お願いいたします。
○釧路弁護士会・法テラス釧路所長(今重一) 釧路の今です。私も釧路地方事務所の所長ということになっております。
釧路では、支援センターの問題というのは、とりもなおさず、スタッフ弁護士の問題含めてですが、とりわけ被疑者弁護の国選化がされる、公選化がされるという中で、これをどのようにやっていくのか、保障していくのかということで、一番大きな問題になってきたというふうに思います。その中で、釧路は、この問題が始まった当時、20数名という会員の時代をちょっと過ぎて、ひまわりも充実してきたということで、人数的には相当進んできた。だけれども、まだまだ被疑者弁護を完全にやっていくためには足りないのだと。そこで、どういったものを更にやっていかなければいけないかということで議論されたと思います。その中で、スタッフ弁護士も必要なところに受け入れていくという議論がなされたのだろうと。支援センター自体については、そういう仕組みの中で被疑者弁護もやっていかなければいけないということで、特別大きな問題にはならなかったような気はするのですが、スタッフ弁護士については、やはり異質な弁護士という位置づけで、やっぱりどれくらい支援センターから独立しているのか、独立した活動ができる弁護士なのかというところで、いろいろな議論がありまして、やはりスタッフ弁護士の事務所を抱えたままの支援センターを、例えば弁護士会の会館に入れるとか、そういった形での枠組みはつくれない。それはやっぱり別なものとして考えてもらうしかないのではないかという議論が、そこをめぐってやっぱり議論が一番されたように思います。そういったことで、釧路弁護士会館は、皆さん御承知のように、2倍の広さまで広げたのですが、支援センターを入れることはできなかった。それで、スタッフ弁護士をどんな位置づけで見ていくべきなのかというのは、釧路は今回は迎え入れませんけれども、いずれ必要になる時期があるわけで、それらを考えていくことはどうしても必要だろうというふうに思っています。きょうのシンポジウムでその点が明らかになればなというふうに思っています。(拍手)
○札幌弁護士会・法テラス札幌所長(矢野修) 札幌の矢野でございます。
きょうはタイトルのようなシンポジウムですけれども、主としてスタッフ弁護士の具体的な活用方法をめぐる御議論になるかと思いますので、実は多分あまり出番はないのではないかなというふうに思いながら参加しておりますけれども、多少、札幌の議論を御紹介申し上げておきたいと思います。
スタッフ弁護士の問題に関する札幌の議論は、大きく分けますと、理念の問題と、それから現実の問題、理念論と現実論というふうにあるのではないかなと思っております。
理念というのは、二つございまして、最初に述べることは、札幌の基本的な意見の骨子は皆さん既に御承知のことでして、内容も釈迦に説法ですので、口幅ったいのですけれども、改めまして簡単に申し上げますと、第一は、スタッフ弁護士という新しい弁護士の性質論といいますか本質論の問題でございます。結論から言いますと、札幌では、できる限りスタッフ弁護士を使うことなく、新しい国選弁護や民事扶助の業務の拡充に取り組んでいきたいと、こんなふうに思っています。
その理由は、法テラスに対する見方というところから出発をするわけです。法テラスは国の機関に準じる独立行政法人で、弁護士業務の主要な内容の一つであります「国家権力との対抗関係」という面では、法務省や法務大臣の監督を受けるという仕組みの本質の問題があって、そして、さらに法テラスの姿なのですけれども、規定上は弁護士業務の自主性、独立性を尊重することになっています。また、本部の理事の多くの皆さんに弁護士が就任しておられます。さらに、全国50カ所の地方事務所長もすべて現時点では弁護士であるなど、自主性、独立性を守っていけるのではないかという基盤条件もあるにはございます。ただ、反面といたしまして、この本部というのも、ただいまは日弁連出身者もおりますけれども、法務省からの出向者を含む、多くの幹部職の人たちがそういうものにミックスされたような形で構成されております上に、本部から具体的に弁護士に対する措置という名の処分が予定もされておりますし、その措置要件というのも、御承知のとおり、弁護士会の弁護士倫理規定と全く同等の要件が定められている。あるいは、50カ所の地方事務所長が配置されておりますけれども、これらに独自の規則制定権があるのかとか、独自の権限はどこまでの広さがあるのかなどといったことをめぐって、その自主性、独立性の基盤がどこまであるのかということに対する懸念も払拭されない側面がございます。特にスタッフ弁護士は、こうした中で、一般の契約弁護士とは違いまして、使用・従属関係に立つという性質の弁護士さんたちであります。つまり、国に準じる機関との使用・従属関係に立つ弁護士でございまして、ここで仮に何かあったとして、処分されるとするならば、雇用契約の解除ということになるのかもしれませんが、そうしますと、これは弁護士にとっては死活問題になるというふうな、一般契約弁護士ともまた違った立場に立たされるということになろうかと思います。そのような新しい弁護士が公認されてこの世に登場してくるということに対する強い懸念が、本質論から、性質論からやっぱり導き出されておりまして、そういったものの各論といたしまして、最近、スタッフ弁護士について弁護士会の会費を一部免除してほしいというふうな要請が法テラス側からされるような事態も出てきているということが言えるかと思います。
二つ目の理念問題ですけれども、これも御存じのとおりですが、新しい被疑者段階の国選弁護活動というのは、長い間の日弁連を初めとした刑事弁護の改革運動、刑事司法改革運動の流の中で実現をしてくるわけですけれども、これはもちろん被疑者段階を含めて、違法捜査や、あるいは冤罪をなくすためのどうしても必要な措置としての実現運動であったわけですけれども、他方で、刑事弁護から弁護士たちが離れていくという、そういう現象から、やはり刑事弁護を弁護士に取り戻そうと。これを一般弁護士が、多数の弁護士で担っていこうという運動として進められたという経過がございます。ですから、これからの被疑者段階の国選弁護活動につきましても、できるだけ多くの弁護士たちが、普通の弁護士が担っていくような、そういう活動にならなければならないのではないかという理念もあるかと思います。
こうしたことから、先ほど結論を最初に申し述べましたけれども、できる限りスタッフ弁護士に頼らないで、できるだけ多数の一般弁護士、多くの弁護士によって、新しいこの事業を支えていこうではないかというのが私たちの理念的な議論の到達点ということになろうかと思います。
他方で、現実論の話ももちろん議論されてございます。法テラスという枠組みの中で、新しい被疑者段階の国選弁護制度が実現されるという、これは現実でございます。この現実的な国選弁護業務を私どもは放棄するわけにはいかなくて、やりきらなければならないのです。問題は、それを我々だけの力でやりきれていくのかどうかという現実的な可能性の問題でございます。
結論から言いますと、札幌の議論は、当面はスタッフ弁護士の配置を必要としないということで、将来の配置の可能性というのは議論の余地を残しているというのが、その立場でございます。特にこの問題は、司法過疎地における国選弁護や民事法律扶助が今後拡大していったならば、担いきれるかという問題がありますし、当然のことですが、2009年になりますと、飛躍的に刑事弁護が拡充される中で、我々だけでやっていけるのかということがございます。そういう意味で、札幌におきましても、将来の問題としましては、スタッフ弁護士をどうするかというのは現実の問題になるのだ、ということをそれなりに自覚しているというふうに考えていただいて結構かと思いますが、その限度においてといいますか、そういう意味におきまして、道内の他の弁護士会の皆様方がスタッフ弁護士をどうしても必要とされているという状況にあり、現実にそういう行動をされていることに対しても、私たちなりにその必要性を理解しているところであるというふうに考えていただいて結構かと思います。
現実論のもう一つ、最後になりますけれども、そうすると、そうしたスタッフ弁護士を将来導入していく、あるいは道内他会でこれから活用していくという問題を現実問題として考えるならば、ではどう対応していったらいいのかということについて、札幌での議論はそう進んでいるわけではありませんけれども、私は、このスタッフ弁護士というのは、できる限り地元の弁護士会と十分な一体性を持って、その地域性や在野性を確保しながら、できるだけ法テラスの従属性を薄める、誤解を恐れずに言うならば、そういった弁護士さんたちとしてつくっていく必要があるのではないかと思います。つまり、スタッフ弁護士の地元養成の問題です。札幌でもスタッフ弁護士の養成のための協力事務所に登録しているところがございます。しかし、まだ具体的な育成活動に着手していないというのが現状です。また、道弁連のすずらん基金法律事務所もございますけれども、これから先はすずらん事務所との関係を、スタッフ弁護士の養成活動をどうしていくのかということをきちんと議論して、整理をして、両方とも育成活動を伸ばしていくということをして、地元でスタッフ弁護士を養成し、送り出していく、活用していくという道が、具体的に検討されなければいけないのではないかと考えております。
長くなりましたけれども、以上でございます。(拍手)
○辻本 ありがとうございました。
それでは、旭川の中村先生、お願いします。
○中村 旭川の中村でございます。
矢野先生のような理論的なお話はできないのですが、旭川弁護士会は、おかげさまで皆様の応援をいただきまして、ひまわり公設事務所を三つ、現在活動していただいて、やっとゼロ支部を埋めたという状況にあるわけであります。ですから、平成18年、ことしの秋からに関しましては、何とかやれなくもないのではないかという話もなくはないわけですが、しかし、あまりにも属人的な要素が多いということに気をもまざるを得ないわけですね。例えば、ある1人の弁護士に何か不幸な事態が起こったとした場合に、その穴をだれが埋めるのかということが、極めて危うい橋の上を渡っているような状態にあるというわけです。明日辻本さんが倒れたらどうなるのだろうと心配せざるを得ないわけですね。そういうような状態である以上、やはり何かがあった場合に備えて、一応スタッフの方に本庁に入っていただいて、遊軍応援部隊というとちょっと失礼な言い方になるかもしれないのですが、例えば紋別で大窪さんが受けられないような事件、あるいは対応しきれないような事態が起こった場合に、一時的に応援していただくとか、本庁でどうしてもなかなか対応がうまくいかないかもしれない、特にこれから法律扶助が、この後も議論になるかと思うのですが、拡大するであろうというときに、我々の対応能力を超えたものが一部出てきた場合に、それをスタッフの方に対応していただくというようなことを考えざるを得ないのではないかということで、旭川本庁への配属を我々としては強く要望していたわけであります。
当初は、法テラスさんの方では、旭川管内に4号事務所をというようなお考えもあったようでございますが、それは結構ですというふうにのしをつけてお返ししたのですけれども、そうすると、もうスタッフは来ないかなと思っていたら、また本庁に来ていただけるようになりまして、しかも因業なことに、会費は1円もまけないと言っているにもかかわらず、いまだに内定が取り消されたという話も聞きませんので、法テラスも案外いいものかなと、個人的には思っているわけです。感謝しているわけでございます。
平成21年のことを考えた場合に、ひまわりだけで被疑者国選に対応しきれるのかという問題とか、裁判員制度の問題なども考えれば、この段階でスタッフは必ずや必要になってくるわけで、それであるならば、早期の段階で本庁に入っていただいて、ここの看板にもありますけれども、ベストパートナーシップを考えるようなことを早期の段階からしていった方がいいのではないかというのが我々の考えであるということであります。
○辻本 ありがとうございました。
地元会の考え方を、個人的な御意見も含めてお話しいただきました。
実際にスタッフの弁護士というのがある程度内定をしておりまして、全国にそれぞれ配置が内定しているということのようです。スタッフ弁護士が、初年度、10月からどういうふうに配置されるかについて、岩井先生から御説明をいただけたらと思います。
○東京弁護士会・法テラス事業企画本部本部長(岩井重一) 岩井でございます。
このたび4号対応地域事務所、それから、本庁に置くスタッフ弁護士、それから国選・扶助対応と、この三つの種類で一応配置先を内定させていただきました。
まず、4号対応地域事務所ですけれども、その配置の一つの基準として、地方裁判所支部管轄単位で、実動弁護士がいないか、あるいは1名という、実質ゼロワンですね。当該地裁支部から公共交通機関を用いて長時間、一応1.5時間というふうに考えているのですが、それを要することなく移動できる範囲内に、地裁本庁あるいは2名以上の実動弁護士が事務所を開設している地裁支部が存在しない地域で、当該地裁支部管内の人口とか、事件数、それから単位弁護士会、地方自治体などの地元の支援体制、そういうものも勘案しながら配置先を決めるということにいたしました。
それから、扶助・国選対応地域事務所でありますけれども、地裁支部管轄単位で想定される国選弁護事件数、あるいは地裁支部管轄単位で実動弁護士1人当たりの年間受任負担件数はどうなのか、地方準備会の段階で扶助・国選地域事務所設置の要望があったのかないのか、それから、単位弁護士会、地方自治体などの支援体制、その辺も踏まえて、必要が高いというところに扶助・国選対応地域事務所を置くということにいたしました。具体的には、きょう、資料で……。
○辻本 資料3の1ページですね。
○岩井 支援センターだよりというものがあります。1枚目ですけれども、4号対応地域事務所ということで6カ所、江差、佐渡、倉吉、須崎、鹿屋、壱岐ということでございます。それから、国選・扶助対応地域事務所、これにつきましては、熊谷、下妻、松本、佐世保。それから、本庁でございますけれども、旭川、埼玉、岐阜、京都、香川、茨城、それから東京の八王子支部に配置するということで、このたび決定をしております。一応そういうような形で配置をさせていただきます。
それから、具体的にどの先生に行っていただくかにつきましては、日弁連の推進本部の御意向、それから、スタッフ弁護士の方々の要望、その辺をかなり個別にお聞きしまして、配置先を決めたわけです。したがいまして、スタッフ弁護士について、希望しているのに何で配置してくれないのかというところの御意見もあるのですが、やはり限られた人数の中で、どうしてもスタッフ弁護士の希望者の、候補者の方々のいろいろ御事情がありますので、その辺を踏まえて配置せざるを得なかったということで、必ずしも各地の要望にこたえられていないという部分がございます。
以上でございます。
○辻本 ありがとうございます。
それでは、来年以降のスタッフの配置の予定について、小林先生から御説明いただけますでしょうか。
○東京弁護士会・日弁連日本司法支援センター推進本部事務局長(小林元治) 小林でございます。
きょうはこのようなシンポジウムを催していただきまして、お呼びいただきました。大変ありがとうございます。
今、司会者の方からスタッフ弁護士を今後どのように配置するかという話でございますが、その前に、スタッフ弁護士の配置について、全国にアンケートを、日弁連の推進本部、あるいは刑事弁護センターから幾つか意向調査等も行っております。その結果を、ちょっとお話したいと思うのですが、実は昨年、執行部を中心に、刑事のキャラバンを全国でやらせていただきました。それは、今年10月の第1段階での対応について、十分ジュディケアで対応できるのかどうか。もし可能でないということになれば、スタッフ弁護士の要請をしてほしい。それから、平成21年度の必要的弁護事件全体に拡大をした段階で、ジュディケアで対応できるのかどうか。もしできないということであれば、どの本庁、どの支部に不安があるのか。また、そのためにスタッフ弁護士の配置を要請されるのかどうか。そういったことを中心に、いろいろ意見交換をさせていただいたのです。
昨年の秋の段階で、スタッフ弁護士につきまして、今年10月の業務開始の第1段階でどれくらいの要望があったかと申しますと、13単位会で23人前後のスタッフの要望がございました。その後、法テラス所長の先生方に、所長として、第1段階の業務遂行に当たって、スタッフ弁護士の必要性があるかどうかの意向も確認をいたしましたところ、若干それと数字が違っておったのです。そういうこともありましたので、再度、単位会の方に、所長さんと十分意見交換、すり合わせをした上で、スタッフ弁護士の要望について最終数字を教えてほしいということで、昨年の末、実施をしまして、2月の中旬に集計をいたしましたところ、最終的に要らないと言われたところは12単位会ほど、東京は三つあってちょっと微妙なのですけれども、大体12単位会は要らないと。北海道では、札幌は前から要らないとずっとおっしゃっておられるのですけれども、滝川はどうされるかという問題は若干あるかと思いますけれども、要らないとおっしゃっているわけです。しかし、要ると言ったのが、その残りはすべてです。約40単位会が要ると。何とその段階で74人のスタッフ弁護士を要請したいという数字が出てまいりました。それは単位会と所長さんとの合議の結果、そういう数字が出ているということなのです。スタッフ弁護士に対する地元単位会の要望というのは、このように徐々に徐々に第1段階が近づくにつれて増えてきたということも御理解をいただきたいと思います。
資料3ということで、支援センターだよりの最後のところに、推進本部といたしまして、今後、スタッフ弁護士の確保の目標値として、どれくらい要るのかという数字を挙げています。平成21年の5月には、被疑者国選弁護が必要的弁護事件に拡大をされます。また、裁判員制度の実施も予定されております。したがいまして、この段階までには、基本的には300人体制で臨む。ということは、現在日弁連は、御承知のとおり、修習を終えた弁護士をいきなりスタッフ弁護士として配置することは考えておりませんで、全国の養成事務所で1年間、弁護士としての基本的な業務、心構えというものを十分修練、鍛錬させた上で送り出す、こういう全国養成事務所方式をとっております。したがいまして、前年度の平成20年度の段階で300人を確保し、21年度に300人体制で臨もうと、こういうことなのです。この300人体制という数字は、決して当てずっぽうで言ったわけではなく、刑事の問題、起訴前弁護について、刑弁センターを中心としてさまざまなアンケート調査を実施いたしました。現在、当番登録弁護士が大体9,000人あまりいるわけですし、扶助の事件でいきますと、藤井専務がお見えになっていますけれども、大体扶助相談登録弁護士が今6,000人ちょっとくらいですか、そういったことも踏まえて、民事、刑事の事件を遅滞なくスムーズに実行できるというための数字として、どれくらいジュディケアが必要なのか。そして、その不足分を、刑事につきましては、これはいろいろ御議論あるところですけれども、スタッフ弁護士が年間100件程度やるとして、どれくらいの人数が必要か。そういったことで、総合的にさまざまな観点から分析した数字が300人という数字なのです。本年度は、ここにございますように、59期というのはまだ1年間養成前ではございますけれども、59期を含めまして、最低60人。来年は60期と新60期が出てまいります。60期については1,500人程度、新60期は1,100人ということで、その中から50人と35人で合計85人。それから、59期以前の15人で合わせて100人。再来年の20年には61期と新61期、新2期と書いてあるのですが、これは新61期というふうに当面呼ぶというふうになっているようですけれども、140人ぐらいを予定しようと。その後は任期明けで辞められる、そういったものを補充するために、ここにあるように毎年130人ぐらいで常時対応していく必要があるのではないかと。そういったことで、当面、日弁連としては、今後3年程度は、全国養成事務所方式をメインにしながら、1年間、全国の事務所で養成をし、できれば地元に配置をするということも考えながら、スタッフ弁護士を養成、送り出していきたいと、こういうふうなことで今検討しているということでございます。
○辻本 ありがとうございます。
本日のパネラーとしては、もう1人、紋別ひまわり基金法律事務所の大窪先生に来ていただいています。大窪先生には、この先、話を進めていく中で、具体的にひまわりで活動している実態から御意見をいただきたいというふうに思っております。
それでは、次の論点の方に進ませていただきますが、函館管内の江差のまちにスタッフ弁護士が派遣される事務所がつくられることが決まっております。まず、事務所の名称なのですが、これは岩井先生、正式に決まったのでしょうか。
○岩井 実は昨日、執行部会がありまして、そこで正式に「法テラス江差法律事務所」、要するに法テラスを最初につけて、真ん中にそれぞれの地域の名前、そして法律事務所ということで、「法テラス江差法律事務所」という名称をつけていただくということになりました。
○辻本 それではそういうふうに呼ばせていただきますが、法テラス江差法律事務所をつくるに当たって、先ほどごあいさつのときにお話しいただきましたが、地元会から要望を出されたと思うのですが、どういうふうな要望をお出しになったか、特に仕事の範囲、どの地域の仕事をしていただくかというようなところに焦点を絞りまして、嶋田先生の方から御紹介いただけますでしょうか。
○嶋田 資料4の平成18年3月8日付の、私がまだ地方準備会の委員長当時ですけれども、その文書。それから、資料4の中の文書ですけれども、平成17年10月5日付の函館地方準備会の文書を見比べていただくと、大体イメージしていただけるかと思います。
先ほどはちょっと省略をさせていただきましたけれども、函館では、かなり早い段階から法テラスのスタッフ弁護士に対してどういう考え方をとるかということを議論いたしました。全国最小単位会にしては、わりあい早い段階で日本司法支援センタープロジェクトチームというものを立ち上げて、だんだん委員の数がふえていきましたけれども、7、8人の委員で議論を重ねました。その前提として、函館は、現在北海道に10カ所あるひまわり基金公設事務所が一つもございません。その要因としては、一つは、何と言っても他の3会に比べてエリアが狭いということがありました。それから、他方、平成合併でちょっと変わりましたけれども、ずっと、明治以来でしょうかね、市は函館市以外にはない、あとは町と村である。江差も八雲も町であると。裁判所の支部のある江差も、独立簡裁があって、それなりに経済力もあるかと私たちでは思っている八雲も町である。したがって人口も少ない、裁判所の事件数も少ないという状況の中で、なかなかひまわり基金法律事務所の方へ踏み出さないまま過ぎていたと。
そういう中で、大体20名ぐらいの会員数だったものが、ここ10年ぐらいの間に30名ぐらいに増えた。若手の会員も増えた。しかしながら、郡部、郡部というふうに我々は言ってきましたけれども、そちらの需要には、少ないかもしれないけれども、これは少ないという確証はないのですけれども、やはり需要には応えていないという気持ちはずっと抱き続けていた。これはいろいろな意見がありましたけれども、抱き続けていた。そして数年前に、函館の道南圏地域司法計画というものを作ったときに、やはり司法過疎問題が存在し、解決ができていないということで、弁護士を何とか常駐できないかという問題を取り上げたということもございました。
その中で、ひまわり基金のところで、やっぱりどうしても難しいと思ったのが、収支のバランスというものが危ないのではないかという気持ちもあったので、そこを、少なくとも給料を保障されているというスタッフ弁護士が常駐していただけるなら、それにのるべきではないかというのがプロジェクトチームの大勢の意見になって、それで会内で全体の意見を上げていきました。
その中で、まず平成17年の1月段階で、八雲と江差、両方に各1名のスタッフ弁護士を配置していただきたいという要望を上げました。その段階での、当時の法務省準備室の文書を見ると、地裁支部、本庁エリアで考える、という文書があったので、函館地裁本庁の中の独立簡裁しかない八雲に果たしてスタッフ弁護士が置けるのかどうかという問題が感じ取られたのです。そのことも一応文書としてケアをしたつもりなのが、平成17年10月の文書でございます。ですから、函館としては、やはり問題として積み残しされてきた、全国レベルで見たら函館本庁も司法過疎ではないかと言われかねないのですけれども、それは抜きにしても、いわゆる郡部の司法過疎対策に特化した形で、とりあえずはスタッフ弁護士、4号業務対応事務所を招致するということを決めました。なお、本庁、函館については、平成21年の必要的弁護事件、全被疑者国選のときには、2名程度のスタッフ弁護士を受け入れるべきではないかというのも、合わせて確認を弁護士会でいたしました。
その中で、いろいろな情報が飛び交ったわけでございます。そもそも函館には1名もスタッフ弁護士が配置されないのではないかという問題がありましたが、情報の中で、江差、八雲、両方は難しい。文章上の表現からもそうだし、数の問題、先ほど岩井先生の御説明、小林先生の御説明のあった数の問題も含めて考えると、両方は無理だろうというふうに思っていましたけれども、江差ではなくて函館にという情報があったわけです。それは、我々函館弁護士会の了解、意思形成の内容とは異なるわけでございます。これに対しては、やはりきちっと我々としては我々の考えを述べて、函館でなく江差にしていただかなければならないということを考えて、実は平成18年3月8日の資料4の文章は、「本当のところは函館ではなく江差にお願いしますよ」ということのために書いているのです。ですから、エリアが江差支部の管内を超えて八雲やその他のところへ、具体的に言うと函館簡易裁判所管内以外のところを全部やっていただく、八雲は無理でしょうからというふうに書いていますけれども、実は函館ではなく江差にスタッフ弁護士を配置すべきであるという理由づけなのです。ただ、そこでそういうふうに書くに当たっては、会内で議論をして、函館簡裁以外の事件を、江差に来られたスタッフ弁護士がやっていただいて構わないし、そちらも過疎である以上は、できるならそれが望ましいということで考えております。ただし、もちろんだんだん現実味を帯びて、江差のことを考えていきますと、八雲は余力があればということにならざるを得ないというふうに思っております。冬のことも考え、たった1人のスタッフ弁護士で、先ほどひまわり基金の先生方が任期が終わった段階で大変疲労されているということもお聞きしましたので、そのあたりも勘案しながらですけれども、函館の地元としては、函館簡裁以外の事件を全部やっていただいても構わないという気持ちではあるということでございます。
○辻本 ありがとうございます。
今の御説明、資料4の末尾に、道南圏弁護士分布図というのがついてございます。その地図の中で、白黒なので見にくくて申しわけないのですが、字がつぶれるくらい黒っぽくなっているのが江差支部の管内、ということでございます。それで、実際に江差に派遣されるスタッフ弁護士の方が、いわゆる4号業務、扶助と国選以外の相当な対価を得て行う法律事務ということになるのですけれども、その4号業務を行う地域というのが、どうも支部管内に限られるという、そういう取り決めが文書化されているようなので、そのあたりを岩井先生の方から御説明いただけますでしょうか。
○岩井 中期計画というものを打ち立てたわけですが、そこの司法過疎対策という項目の中に……。
○辻本 ごめんなさい、資料1の7ページに当該条文が出ておりますので、ちょっと御参照ください。失礼しました。
○岩井 そうですね、7ページの(5)ですかね。司法過疎対策ということで、地方裁判所支部管轄単位で、支援センターの常勤弁護士による法律サービスの提供が可能な体制を整備するということで、メルクマールとしては地方裁判所支部管轄単位という形になっておりまして、まず司法過疎対策としては、実動弁護士ゼロワン地域の解消を最優先にするということでございますので、そのゼロワン地域の支部管轄の中で、当初は江差支部管内という中で、法的ニーズに十分こたえるようにスタッフ弁護士に頑張っていただきたいということになっているわけでございます。そういうことで、嶋田所長の方から御要請がいろいろあるわけですけれども、中期計画との関係からいきますと、支部管轄から外れた独立簡裁への4号事務所の事業展開ということは、ちょっとこの範囲からすると難しいという問題がありまして、もしそういう形で幅を今後広げるということであれば、中期計画を変更するか、あるいは平成22年の4月の段階で新たにまた中期計画をつくるわけですけれども、その段階で入れるか、その辺のことを考えていかざるを得ないということでございます。
○辻本 そういう中期計画という縛りがかかるということのようです。
嶋田先生、実際にこの地域に絞って、それでも忙しいかもしれない、ちょっとやってみなければわからないところはあるのですが、先ほどの道南圏弁護士分布図を見て、せめてこの地域ぐらいはというような地域がありましたら、そのような御指摘をいただけたらと思うのですが。
○嶋田 地図をごらんいただきたいと思いますけれども、実はここにいらっしゃる道内の先生方はよく御存じですけれども、函館から長万部までは函館本線が通っていますから、交通はそれなりに便利であるということになるのですけれども、一番左の下の松前、ここは簡裁がございますけれども、ここはJRが廃止される前もそう頻繁には便がございませんでしたけれども、今はバスしかない、1日の便数も数が少ないということがございまして、マイカーでも、函館からまいりますと2時間かかります。他方、江差から松前へ行きますと、1時間で大体行けると。そうしますと、松前の方として、弁護士に会いに行くということになると、どっちを選ぶかというと、やはり江差を選びたいということになろうと思っていまして、せめてこの松前については、江差のスタッフ弁護士が仕事をできる範囲にできないか、ということは強く感じております。
○辻本 ありがとうございます。
先ほどの中期計画の説明で、4号業務については地裁支部管内という縛りがかかる。法律扶助と国選の事件については、そのような縛りがかからないというふうにも規則は読めるのですが、そのあたり、例えば松前町の法律扶助の事件を江差のスタッフ弁護士が受けるとか、こういうことはどうなのでしょうか。岩井先生、そのあたりのことについて御意見いただけますか。
○岩井 応用問題については私もまだ十分検討はできていないわけですけれども、いずれにしましても、当初について、江差支部の中でどこまで、どれだけの需要があって、どうなるのか、その辺の見通しが立つ中で、また実働状態を見た上で、その中でまた幅を広げていくということは考えられると思いますけれども、当面はそういうことで、江差の方で頑張っていただきたいということでございまして、その後については、また引き続き日弁連の推進本部ともいろいろと協議をさせていただきながら考えていきたいと思っております。
○辻本 小林先生、どうぞ。
○小林 これは確かに応用問題だろうと思うのですけれども、総合法律支援法の30条1項4号というのがありまして、そこでは、要するに司法過疎地域対策をしているわけですね。資料1でいきますと3ページのところに30条1項4号というのがありますけれども、要するに過疎地域においては、相当の対価を得て適当な契約弁護士、これはスタッフ弁護士のことですけれども、スタッフ弁護士は有償の法律業務を行えると、こういう仕切りにしているのですね。これはあくまでもそこには弁護士がいないわけですから、民業圧迫をすることはないだろうということで、だからできるという仕切りをしたのですね。スタッフ弁護士というのは、基本的には扶助・国選という、公益性の高い、そういったものについては都市部でも、もちろん司法過疎地域でもできるわけです。しかし、こういった司法過疎地域対策としては、弁護士がいないわけですから、頼もうと思っても弁護士がいないところは、やっぱりスタッフ弁護士が受けていく、そこは競争相手がいない、民業圧迫はしないという前提でこういう規定が置かれたわけです。
今、嶋田所長のお話ですと、松前は函館地裁本庁管内ではあるけれども、江差に行った方が近いと。地元の弁護士会もそれを要望しているということで、民業圧迫は、自ら結構ですということをおっしゃっておられるわけですね。であれば、これはやっぱり現実に即した対応をする必要があるのではないかという気がいたします。
それで、中期計画というのは、あくまでもスタッフ弁護士を配置する基準として、実質的な実動弁護士がいない、またはワンだという、実質的ゼロワンということを明確にうたっていまして、配置の基準を言っているわけでありまして、スタッフ弁護士の業務の範囲を限定するという趣旨ではないのです。だから、そういうふうにスタッフ弁護士が置かれた法の趣旨を考えていけば、中期計画の合理的な解釈というのはあり得るだろうと。そうなれば、支部管内を超えて必要性がある場合、スタッフ弁護士が担う合理性があるという場合はできる、というふうな仕切りを現行中期計画の解釈の中でもしていくべきではないかというふうに私は思います。これは法テラスとの協議を今後しなければいけない課題ではあるかと思いますけれども、地元の弁護士会を含めて、民業圧迫はない、むしろお願いをしたいという状況があるとすれば、スタッフ弁護士の業務の繁忙だとか、業務の遂行能力等を考えることはもちろん必要ではありますけれども、できるという仕切りは、これは十分可能ではないかなというふうに考えております。
○辻本 ありがとうございます。
仕事の枠というところでは、ある程度余地がありそうですが、そもそもスタッフ弁護士を置くか置かないかということになってきますと、これはどうもはっきり置けないということのようなのですが、パネラーの地元会の中に、ここに置くことは考えてもいいのだけれども、どうもこの規定があるからだめそうだみたいな、そんな御意見とか御感想とか、特にないですか。今先生、お願いできますか。
○今 特に聞かなければいけないというほどのことでもないのですが、二つほどちょっとお聞きしたかったのは、この関係で、一つは、私どものところも北見支部と網走支部管内で、ここはどちらも2人以上弁護士がいる、網走も今年、ひまわり基金法律事務所ができまして2人になりましたので、4号対応地域事務所が置けるところではなくなったという感じはあるのですが、もう一つは、後で紋別との関係で少し議論になりそうですが、遠軽町、ここは独立簡裁があるところなのです。これは北見からも1時間半くらい走っていかなければいけない。紋別からむしろ近い、1時間かからないで行けるというような場所があって、ここがどうも空白になっているのです、いろいろな意味で。警察署があるのです。被疑者弁護をやるとなると、やはりここは平成21年段階で相当必要になるのではないかというふうに思われます。紋別がどのくらい充実されるかにもよるのですが、そういった問題がありますので、見直し時期としてはもう少し早めて、もしどうしても見直さなければできないということであれば、この点を少し早めて見直してもらう必要があるのではないかという気が一ついたします。その点がどうなのかなということが一つ。
それからもう一つは、業務の関係で、どのスタッフ弁護士がどこの範囲をやるかという場合、例えば本庁所在地、地方事務所にスタッフ弁護士を置くという場合に、これも同じように、やっぱり地方事務所の本庁管内しかできないという仕切りになるのでしょうか。そうだとすれば、最初、地方事務所などにスタッフ弁護士を置いておいて、それを支部などでいろいろ足りないところ、不足が生じた場合に、あるいは被疑者弁護ができないような状態が生じたときに応援に行くとか、あるいは支部を超えて、もっと過疎地域での巡回法律相談のようなことを、そのスタッフ弁護士の力を使ってやりたいというようなことが果たしてできるのか、というあたりをちょっとお伺いしたい。
○辻本 後の点については、旭川に派遣されるスタッフ弁護士の仕事ということで話題にさせていただきますので、後に回させていただくとして、遠軽の問題について、一番近くに事務所を構えている大窪先生、遠軽地域の実情についての御意見がありましたら、簡単にお話しいただけますか。
○大窪 紋別の大窪でございます。
紋別と遠軽の関係なのですけれども、ちょっとイメージを持ちづらい方もいらっしゃるかもしれませんので、資料6に紋別ひまわり基金法律事務所の概要というものを載せています。こちらの方は日弁連のホームページの方にもありますので、もしよろしければ読んでいただきたいのですが、紋別の場合ですと、旭川本庁からは140キロ離れておりまして、非常に距離が遠いところにあります。オホーツク沿岸にあるのですけれども、そこから遠軽町までは、大体車で1時間かかるかかからないかというところ、距離にして50キロぐらいのところにあります。かなり距離的には近いです。遠軽は釧路地裁の北見支部管内でもあるのですけれども、北見からでも大体同程度くらい時間はかかりますかね。大体50キロか40キロ弱か、ちょっとわかりませんけれども、そのぐらいかかります。紋別の人口は、現在、ちょっと前ですけれども、2万7,402人になるのですが、遠軽町はこのたび合併をしまして、大体3万人ほど人口がいます。紋別より人口は多いです。私の方の事務所では、遠軽簡裁管内のお客様というのがたくさんいらっしゃいまして、遠軽町に限らないのですけれども、隣の湧別町、上湧別町というところからも人が来るので、当然、私も遠軽簡裁の方に行く用事が月に1件か2件は必ずあります。債務整理をやるにしても、過払い訴訟をやるに当たって、遠軽簡裁に行かなければいけませんし、家事事件についても、遠軽については家裁の出張所もありますから、そこを利用することもあります。なので、縁が深いところです。
それで、遠軽のところに4号の事務所を置くかどうかという議論については、私もあまり釧路会ともお話をする機会もありませんでしたので、ここで賛成、反対というふうな意見をちょっと言うわけには、影響が大き過ぎますので、言うわけにはいかないのですけれども、ただ、客観的に見て、遠軽簡裁で、やはり弁護士が必要であるとは思います。それはセンターかどうかというふうな問題は別としまして、人口的には、やっぱり3万人の人口を町内だけでも抱えていること、それから、遠軽簡裁の管内自体が非常に広いというところです。先ほど言った上湧別とか湧別だけではなくて、そのほかにも地域が広がっています。旧丸瀬布、白滝のあたりまで行かなければなりませんから、なかなか紋別の弁護士であるとか北見の弁護士がカバーできないところにお客様がいらっしゃるということ自体は当然あると思います。率直なところを言わせていただきますと、私も遠軽簡裁の方に通うことは多いのですが、そこで一緒に過払い訴訟をやっている司法書士などはよく顔を合わせることがあるのですが、なかなか北見支部の先生方と顔を合わせることはないので、多分遠軽までは手が回らないのかなという印象は持っています。以上です。
○辻本 ありがとうございます。どうぞ。
○矢野 先ほどの中期計画との関係なのですけれども、札幌の方で、もし支援センターの地域事務所をつくるならば、という議論をした中で、今現在、必要度ナンバーワンということで言いますと、夕張なのです。夕張は独立簡裁所在地なのです。その他の地域につきましては、もちろん司法過疎の濃淡いろいろありまして、必要性は全くないわけでも何でもないのですけれども、そういうほかのところは、弁護士の定着であるとか、あるいは公設法律事務所の開設だとか、あるいは法律相談センターの支部の設置などによって、何らかの形でずっとカバーしてきているのですが、夕張方面というのは今のところそうした対応が全くとられていないところなのです。司法過疎地なのですけれども、御承知のとおり、産炭地の代表みたいなところで、まちの過疎自体が急速に進みまして、人もずっと減ってきていますし、経済活力も低下してきているという状況がある中で、今までどうしてこういうところに手が打たれていなかったかというと、弁護士事務所はもちろんですけれども、何をやっても採算性がどうしても合わないと。つまり手を打とうとするならば、お金の問題をあまり考慮に入れないで、赤字を出してでもやるというふうなことにでもならないとできないような地域特性という面があります。司法過疎地というのは、地域過疎が進行してという面が非常に強いのではないかと思うのです。そういう意味で、こんな地域に、つまり国費に支えられているからこそ、採算性を度外視して事務所を設置してもらうというようなことがもし可能であれば、それこそ法テラスをつくった積極的な意味が示せるのではないかなというふうに思うのです。もちろん中期計画というのは当面の計画なのでしょうから、将来ということは含みとしてあるのではないかと思いますけれども、そういうふうに地元の司法過疎対策の進行具合との関係で、結構中期計画から外されているところに必要度の高い地域もあるのだということを御認識いただいて、御検討いただきたいなと、こんなふうに思います。以上です。
○辻本 ありがとうございます。
先ほど岩井先生からコメントがありましたけれども、今後、中期計画の修正というようなことも含めて検討していただきたいと思います。
それでは、少し話題を進めまして、当番弁護のことについてお尋ねをしたいと思うのですが、法テラス江差法律事務所、当然当番弁護士はやっていただけるものだと思っていたのですけれども、全く問題がないわけではなさそうなのですが、まず地元の感覚としては、やっていただいて当然という感覚ですよね、嶋田先生。
○嶋田 江差警察署もございますので、当然やっていただかなければ意味がないというふうに考えております。
○辻本 江差のスタッフ弁護士に当番弁護士をやっていただく上で、どのあたりが問題になるのか、岩井先生、御説明いただけないでしょうか。
○岩井 当番弁護士につきましては、まず総合法律支援法の資料1の3ページを見ていただきたいのですけれども、4号業務ということで、司法過疎の関係ですが、弁護士、弁護士法人または隣接法律専門職者がその地域にいないこと、その他の事情により、これらのものに対して法律事務の取り扱いを依頼することに困難がある地域において、その依頼に応じ、相当の対価を得て、適当な契約弁護士等に法律事務を取り扱わせるということで、では当番弁護士についてどう考えたらいいのかということであります。センターの中で議論しまして、一応の方向性を今出しつつあります。もともとスタッフ弁護士につきましては、扶助・国選、それから司法過疎の有償業務ということになるわけですけれども、そういう中で、当番弁護活動は、センターの本来業務として位置づけることは難しい、困難であると。ただ、センターとして、弁護士業務の特性、当番弁護士活動の意義、そういうものを十分踏まえて、スタッフ弁護士として本来業務に支障を来さないという範囲で、当番弁護活動を行うことを認めると。いわゆる原則と例外ということになりますけれども、一応スタッフ弁護士が扶助・国選・有償業務に専念していただくわけですけれども、当番弁護活動については職務専念義務を一部解除すると、そういう発想でおります。特に司法過疎型の4号対応地域事務所のスタッフ弁護士につきましては、今年10月の業務開始時点におきまして、その支部管内の事件に限りまして、地方事務所長の了解のもとに、当番弁護活動を行うことができるという仕組みにしたいというふうに考えております。これはまだスタッフ弁護士の業務が扶助・国選・有償業務、どのように展開するかわからない中で、スタッフ弁護士が配置された、どんどんやってちょうだいという形で、本来の業務に影響があっていいのかという問題があるわけです。やはり国民から見て、扶助・国選・有償業務、一生懸命やっていただくということで、司法過疎のスタッフ弁護士を配置したというふうに理解しているわけですから、それが扶助・国選・有償業務に影響を与えるような形で当番弁護活動ばかりやっているというわけにいかないと。そういうところで、一応地方事務所長の了解のもとにやっていただくという形にしたいというふうに思っております。特に当番弁護活動がこのたびの刑訴法の改正の中での私選弁護人紹介申出制度との関係でどう位置づけられるのかということもございます。そういう中で、過疎型スタッフ弁護士につきましては、私選受任ができるわけでございますので、そういう意味で不都合はありませんので、本来業務に支障がないという中で、ことしの10月から認めるというふうに考えております。
それから、本所、支部、それから国選・扶助対応地域事務所のスタッフ弁護士につきましては、私選弁護ができるということではございません。有償業務をできるわけではなくて、扶助・国選を中心にやっていただくということでございますので、今後の業務量がどうなるのか、あるいは私選弁護人紹介申出制度との関連で、当番弁護活動がどうなって運用されていくのか、その辺も踏まえて、平成18年10月の業務開始時点では難しいなということでございますけれども、平成19年以降、都市型、いわゆる本所、それから国選・扶助対応地域事務所におきましても、その辺についてどうできるか検討をしていきたいというふうに思っております。当面、10月の業務開始時点では、4号対応地域事務所のスタッフ弁護士はできるという形にしていきたいというふうに思っております。
○辻本 嶋田先生、実際に江差のスタッフ弁護士が対応する当番弁護士の依頼というのは、どのくらいの件数が見込まれているのでしょうか。
○嶋田 実は江差警察署に限りますと、現状では年に数件程度になっています。先ほど問題になった松前簡裁管内は、今の岩井先生の御発言だと当番弁護士として出向くことはさらに難しくなってしまうかもしれませんが、松前警察署はもっと少ないと思います。
ただ、問題がやや外れますけれども、函館地方では大きな問題で、この機会に皆さんに御認識いただきたいことがあります。それは、函館地方検察庁の検察官は、正検事、副検事、両方とも函館にしか常駐していないのです。江差にもいない、八雲にもいないのです。裁判所の簡裁判事さんは八雲と江差に常駐していますけれども、検察庁はそういう状況です。ですから、この前の国選手続をどうしていくかという、函館での裁判所、検察庁との協議でも、検察庁は、裁判所に対する起訴は、身柄事件は本庁に回すというふうに言っていますので、そういう状況の中で、現状では、江差のスタッフ弁護士がエリアとして考えられる拘留数等は非常に少ないというふうに思っていますけれども、でも、そうであるからこそ、函館から車で1時間半かけて行くよりは、当然、5分で行ける、歩いても10分で行ける、江差のスタッフ弁護士にはぜひとも担っていただく必要があるというふうに思っています。
○辻本 ありがとうございます。
今のお話をお伺いする限りは、本来業務に支障があるということで、江差のスタッフ弁護士が当番弁護士をできないということはなさそうに思いました。
当番弁護士でも、以上のような理論的な問題があるそうなのですが、これが被疑者弁護人援助になると、ますますややこしい話になってくるようなことも聞いております。皆さんのお耳にも業務委託という言葉が届いているかと思うのですが、基本的に法テラスに業務委託をされれば、スタッフ弁護士はその仕事ができるということのようなのですが、現時点では、被疑者弁護人援助制度は法律扶助協会の事業であって、法テラスに業務委託はしておりません。この段階で、例えば江差のスタッフ弁護士が当番に行きまして、被疑者弁護人援助ができるのかできないのか、このあたりの問題について、小林先生、コメントいただけますでしょうか。
○小林 いわゆる司法過疎地に配属されるスタッフ弁護士につきましては、扶助・国選、それから4号業務と言われる有償業務、すべてできるわけです。したがって、相当の対価が払われるということになりますと、被疑者弁護人援助、それから少年付添人扶助、これは費用が現在は扶助協会から払われておりますし、今後、日弁連から支援センターに委託をされるということになりますと、委託費を弁護士会の方から払いまして、支援センター経由で費用が払われる、相当な対価が払われるわけですので、当然、江差のスタッフ弁護士もこういった刑事・少年はいずれもできるということになると思います。もちろん委託がなかったとしても、相当の対価といえば、4号業務としての有償の業務はもちろんできると、こういうふうになります。日弁連は、先日の7月20日の理事会で、正式に刑事・少年を含む、子供、あるいは外国人問題、現在の扶助協会の行っている本部事業、それから支部事業も整理いたしまして、すべて支援センターに委託をするということを正式に決めまして、今後、委託の具体的な中身につきまして支援センターと協議に入る予定になっておりますので、委託を受けていただけるものと我々は信じておりますけれども、委託になれば、当然、都市型も含めてスタッフ弁護士はできるということになると思います。
それで、先ほどから議論が出ております当番弁護士の問題。当番弁護士を、今、支援センターの仕切りでは基本的にはできないけれども、4号業務につきましては、職務専念義務を一応解除して、本来業務に支障のない限りはできると、こういうお話を先ほどされました。これはちょっとすとんと皆さん方には腹に落ちない。どうして、過疎地域でも基本的にはできないけれども、地方事務所長の許可を得て、本来業務に差し支えなければできるというふうになるのだろうかと。当然できていいのではないかという御疑問があると思うのです。この点について、推進本部としましては、支援センターとの協議がまだ平行線の部分があるのですけれども、根本的な違いはどこにあるかといいますと、当番弁護士が4号業務と言えるかどうか、つまり有償業務と言えるかという点が一つあるのです。当番弁護士は弁護士会の事業として、空振り日当も含めて、依頼する被疑者本人が払っているわけではないのです。ここの違いなのです。有償というのは、本人が払わないと有償業務と言えないのかどうか。この点は、被疑者弁護については、本人が払うというよりも、家族であるとか、会社が払うとか、そういったことで、本人が払うというのはあまり、むしろ例外というか、本人以外が払う場合の方が結構多いわけです。そうすると、弁護士会が払ったとしても、これは有償性の要件は満たすと。したがって有償業務であるということで、4号業務そのものではないのだろうかと。ということで、当番弁護士を過疎地域事務所に配属されるスタッフ弁護士は当然できると、そういうふうに考えていただければということで考えてはいるのですけれども、個々の点につきまして、今ちょっと未検討の問題が残っているというふうに私は思っております。そういった問題の背景を御理解いただいて、今、法テラス側で示された要件を勘案していく必要があるのではないかというふうに思います。以上です。
○辻本 ありがとうございます。
それでは、ちょっと時間が遅れ気味になっておりますので、私選刑事弁護と一般民事事件について、これも当然4号業務ということで、江差のスタッフ弁護士はできるということにされているのですが、その中で、では一体どの程度の金額で受けるのか、このあたりがやはり気になるところです。資料1の6ページのところに、日本司法支援センター業務方法書の一部が抜粋されておりまして、その79条に司法過疎対策業務というのが書かれていて、その3項に、相当の対価の基準、これは理事長が決めると規定されております。この点について、では実際の弁護士の裁量がどのくらい働くのだろうか、また、この基準というのは一体何をもって、何を参考に決められるものなのか、そのあたりが気になるところなので、岩井先生、この点について御説明いただけますでしょうか。
○岩井 相当の対価というのをどう出すかは難しいところで、一応センターの中にスタッフ弁護士内定者に嘱託弁護士として加わっていただきまして、今その方にいろいろ調査をしていただいているわけですけれども、東京には都市型の公設事務所、パブリックなりシビックなりフロンティアなりあるわけですけれども、そういうところでどういう基準でやっておられるのか、あるいはひまわり基金の公設事務所はどのような基準でやっているのか、その辺も今、リサーチしながら、そういうものを踏まえながら、一応基準づくりをしております。基準といっても、それはあくまでも目安でありまして、弁護士会で報酬規定を撤廃したわけですから、そういうことも踏まえまして、いずれにしても目安という形で、ある程度は裁量の余地といいますか、裁量権がある形で、かといって何も目安がないと困るということで、一応目安というものを示すべく、現在やっております。したがいまして、裁量の余地はあるということでございます。
○辻本 一つ念押しなのですが、この相当の対価の基準というのは、法律扶助の代理援助の基準、それとか、刑事の場合の国選弁護の報酬、これとは異なるものという理解でよろしいのでしょうか。
○岩井 それは当然だと思います。一般契約弁護士が御自身で有償業務をやられるに際して、どの程度の基準でやっておられるのか、そういうものも当然前提になるわけで、国選・扶助とは違うということでございます。
○辻本 それでは、話をちょっと進めまして、現実の法テラス江差法律事務所の業務体制のことについてお聞きしたいと思います。
嶋田先生、もう事務所の具体的な場所は決まっているのでしょうか。
○嶋田 内定したと言っていいと思います。
○辻本 どのようなシチュエーションにあるのですか。
○嶋田 もともと江差町内には弁護士の事務所向けの物件というのはそうないというのが一つあるわけですけれども、ただ、幾つかの候補がございました。これについては、スタッフ弁護士が江差に常駐するということについて、非常に地元の協力が強いわけで、事実上、江差町の役場の方で候補を数カ所選んでいただいて、私も見ましたし、スタッフ弁護士内定者も見ました。そこで、江差町内に限らず、基本的に江差管内の他町から来るときにもわかりやすいという意味で、国道に面しているということ、要するに込み入ったところではないと。それから、他の関係機関、いわゆる法テラスで言っている関係機関等、法務局とか、自治体、江差町役場だとかに非常に近いというようなこと。それから、もちろん裁判所や検察庁、警察とも近いというようなこと、そのあたりを考えて選びましたが、距離については、江差町内ですからそう問題にはならないのですけれども、やはり国道に面しているということが非常に大きな要素。それから、プラスもう一つは、駐車場がどれだけ確保できるか。利用者はほとんどが車で来訪されると思いますので、そういうところも考えました。
○辻本 事務員の採用予定が1名と聞いているのですが、ちょっと1人では不便かなという気もするのですが、その点について何か御意見ありますか。
○嶋田 もちろん複数の方がいいというふうには思いますけれども、これは江差に決まったいきさつ、先ほど申し上げたとおり、函館でいいのではないかというような議論もかなりあったというようなこと、要するに事件数が心配だということですよね。そういうようなことも勘案しますと、とりあえずは1名で出発をするということもしようがないかなというふうに地元では考えています。もちろんこれについては、法テラスの公式文書で、足りなければパート採用で増員していくということが書かれてありましたので、あるいは相当早い時期にそういうこともあり得るのかなということも考えつつ、とりあえず1名で出発ということです。
○辻本 大窪先生、紋別ひまわり事務所では事務員1名のところを2名に増やされたと思いますが、増やした理由とか、増やした結果について、簡単に御紹介いただけますか。
○大窪 紋別では、私が去年の4月に入ってきまして、それまでは事務局は1名で基本的にはやっていました。私が入ってから、7月に事務局を2人にしたのですけれども、それはなぜかというと、簡単に言ってしまうと、債務整理の件数が多いので、その処理というか、事件についてやってくれる事務局が足りないということで入れたということになります。もともと先代と先々代、4年やっていたのですけれども、その時点から、もともと労働力として1人では足りないということは明らかになっていました。その点は事務局の残業であるとか、弁護士の残業であるとか、そういったところで補っていたというふうなところがあったと聞いております。ただ、ひまわり事務所ですので、これから先、安定的に経営できるかどうかわからないということなので、先代と先々代は事務局の採用については消極的でした。ただ、私としては、それですと相談に来るお客様について、やっぱり債務整理については、事実上相談を1カ月ぐらい待ってもらっているとか、そういった状況が改善されないと思いましたので、事務局を増やして、相談のペースも上げて、何とか受任をしようというふうに考えているところです。結果的にはよかったと思います。
それで、江差についてはどういった事件数があるのかというのは、私も現地の状況が全くわかりませんので、何とも言えないところはあるのですけれども、4号事務所の方で仮に債務整理をきちんとやるということであれば、私は1名では早晩足りなくなるのではないかというふうに思います。近くというか、比較的近くの同じような役割をしている倶知安のひまわり基金法律事務所でも、事務局が4人体制でやっていまして、事件数自体もうちの倍近くやっているというふうな報告を聞いていますので、江差についても、1名では私は足りなくなることは明らかなのではないかなというふうに思います。
○辻本 ありがとうございます。
先ほど嶋田先生から御紹介ありましたけれども、事務員1人で不足する場合には、非常勤職員の増員は考えていただけると、こういう答えでよろしいのですね、岩井先生。
○岩井 スタッフ弁護士を配置させていただく地方事務所所長の先生方に私の方で個別に御連絡をしましたところ、大体の先生方が、さっき嶋田先生がおっしゃったように、当面1名で大丈夫ではないかと。ただし、今大窪先生が言われたように、債務整理などが多いところについては、やはり2名必要ということもこちらは把握しておりますので、具体的に活動されて、これはどうしても1名では足りないということであれば、そのように法テラス本部の方に御連絡いただいて、こちらとしては即議論して、適時に対応したいと、そういうことで、非常勤職員を増員するということを考えております。
○辻本 それから、北海道、特に江差のような地域で弁護士をやるとなったら、自分で運転する車が不可欠だと思うのですが、ひまわり事務所は所長ですので、自分で車を買ったり借りたりすればいいのですけれども、スタッフ弁護士の場合、業務に使う自動車はどのような形で手当されるようになるのか、このあたりの説明も、岩井先生、お願いできますか。
○岩井 確かに北海道で車が無かったらどうしようもないということはよくわかります。それで、車について法テラスがリースで借りるのかどうかということも検討したわけですけれども、やはり実際問題として、その管理が大変だと。特に休日、スタッフ弁護士の方が利用されたときに、それが私的なのか、業務で使っておられるのか、その辺についてもまた国民から厳しい指摘を受けるというようなこともありますので、そういう意味で、やはり公明正大にやっていくということであれば、一応自家用車につきまして、スタッフ弁護士の方が御自分のものとして御購入いただいて、その自家用車を利用するに当たっての一定の範囲での経費を見ていくと。もちろんガソリン代も当然でしょうし、残りの償却の問題とか、その辺もこれから吟味していきたいというふうに思っております。
○辻本 ありがとうございます。
それから、スタッフ弁護士の処遇についてなのですが、資料3の3ページにスタッフ弁護士の処遇という欄があって、給料としては、大体同期の裁判官、検察官と同程度のものが支給されるという説明になっているのですが、一部歩合給が支給される模様ですというような表現になっておりますが、この歩合給というのは具体的にどのようなものをお考えなのかを簡単に御説明いただけますでしょうか。
○岩井 もともと特別手当については、特にスタッフ弁護士の方が地域に行かれて、会費負担をしなければいけないと。その会費についてどうするかというようなことで、これは何とか特別手当でしようではないかというような議論も過去あったみたいですが、会費につきましては、御案内のように、一応60万円の範囲内において、もちろん会館建設費は別として、いずれにしてもそれは除外して、60万円の範囲で、これはあくまでもスタッフ弁護士が活動していただく経費だということで、直接的に法テラスが負担させていただくということになりまして、それの中で、特別手当、また考え方が変わってきまして、それは確かにインセンティブを与えるという部分もありますけれども、なかなかそれについてはそんなに高額に認めるということが難しいと。それで、当面は、法曹実務経験が10年以下のスタッフ弁護士に対して、一般契約弁護士であれば支払いを受けたであろう扶助・国選の報酬額を含めまして、事件処理による収入額が給与の2倍以上3倍未満に達している場合には、給与の数%ということで、まだパーセンテージが明確ではないのですけれども、何%かと。それから、給与の3倍以上の額に達している場合は給与の10%程度ということで、一応特別手当を出すということになっております。
○辻本 ありがとうございました。
それから、では具体的に江差の事務所がどの程度の業務量になるのか、これはやってみなければわからないとしか言いようがない部分があるかと思うのですが、実際にひまわり事務所がどの程度の業務量をこなしているかというあたりのことについて、先ほど大窪先生から御紹介がありました資料6を使って、紋別ひまわり事務所の仕事の状況、これを簡単に、大窪先生、御説明いただけますか。
○大窪 では説明いたします。資料6の5ページのところで、紋別ひまわり基金法律事務所のデータという形で載せていただいています。
それで、まず平成17年の1月から12月というふうなところで載せていただいておりますけれども、相談件数はまとめて173、受任件数については、民事が97、刑事については、当番が25、国選とか私選に対しては24というふうなところになっています。これは亀井弁護士が昨年の3月まで紋別にいたのですけれども、その件数については含めていない状況です。だから、実数はもうちょっとあると思います。それから、今年に入ってからの6月のところまでのデータは裏のページの方に載せておりまして、相談件数は118、民事については45、刑事については、当番が10件、刑事弁護が9件となっております。
5ページの方に戻っていただきまして、受任件数とその割合のグラフをちょっと出したのですが、ちょっとつぶれて見にくいのですけれども、概略だけ説明しますと、下の方で、ぐるっと円グラフの半分を描いているのが債務整理の事件です。これが大体半分を占めます。そこで、左上になるのか、ちょっと数字の方は見えないのですが、こちらは刑事事件です。残りの部分が一般民事というふうなことになります。一般民事のところで一番大きいところは家事事件、具体的に一番多いのは離婚事件ということになります。
大体こういう状況ですので、旭川の支部のひまわり公設としては標準的な事件数であると思います。ひまわりでは、相談件数が500件とか400件とか、そういう化け物みたいな件数をやっているところもありますけれども、幸い、幸か不幸か、紋別はそういった状況にはありません。ですが、では弁護士がどれだけ仕事をしているのかというと、結構ハードワークではあると思います。理由としてはいろいろあると思うのですけれども、過払い訴訟などをやっている関係で、紋別支部の事件だけに限らないといった事情がございまして、隣の遠軽簡裁もそうですし、釧路地裁の北見支部もそうですし、それから、網走支部も行きますし、場合によっては本庁も行くと。そういう意味で、各裁判所に月1回か2回ぐらいは行っている計算になりますので、毎週、複数回出張があるというふうな状況です。空いた日の日中はすべて相談に使っていますので、残った夕方以降に起案をするというふうな生活をしております。大体労働時間としては、朝9時から、いろいろやっていて、深夜帯までやっているという感じです。土、日については、必ずどちらかは出勤をして、訴状とか準備書面とか、そういった起案をしているという状況ですので、東京にいたころとあまり変わらないのですけれども、それでもハードワークと言えばハードワークなのかなとは思っています。ちなみに、事務局も今2人いますけれども、やはりいいことではないのですけれども、残業しない日はございません。一生懸命仕事をしてもらっています。
○辻本 ありがとうございます。
実際、自分の事務所の事件数と見比べてみますと、いかにひまわり事務所がたくさんの事件を抱えているかというのがお分かりいただけるかと思います。
ところで、4号のスタッフの弁護士というのは、一応法テラスに雇われている形になるようなのですが、労働時間の規制みたいなものが働くのでしょうか。この点は、岩井先生、どうなのでしょう。
○岩井 一般の職員と違いますので、そういう時間外労働という概念はないということでございまして、我々一般の弁護士と同じように、弁護士として受任した事件を責任持って処理していただくということなので、業務時間外でも処理をしていただくということでございます。ただ、もちろん健康に十分留意していただくようにやってもらわなければいけないものですから、その辺でもし体をこわしたということになりますと大変なことになりますので、その辺は十分配慮していきたいというふうに思っております。
○辻本 事件申し込みの数が多い。そういう相談申し込みをどういうふうに具体的にコントロールをしていったらいいのだろうかという点なのですが、大窪先生は実際にはどのようにされておられますか。
○大窪 難しい問題なのですけれども、相談に来られる方というのは、基本的に全部聞きますというふうにはしています。ひまわりである以上、当然ですが、ただ、時間的な問題がありますので、どうしても順番待ちになってしまいます。順番待ちで、最近は改善されましたけれども、それでもやっぱり2週間待っていただくとか、本当は来たらすぐにその日のうちとか、翌日とかに聞かなければいけないとは思うのですけれども、ついつい待っていただくという形になっていまして、実際、電話いただいた方でも、それだけ時間があるのだったらやっぱりいいですという方もかなりいらっしゃいますので、それで事実上、いいことではないのですけれども、順番待ちをしてもらって、できる方だけやるという形でコントロールをしてしまっている状態に今なっています。ですので、いいことではないですが、その中でも、例えば闇金融に対する相談とか、警察でもろくに対応してくれないというふうな現実がありますから、そういった緊急を要する案件ですとか、あと、家事事件で、DVで暴力夫から逃げてきて、今どうしていいかわからないと、そういった案件については、その日のうちに相談を入れて、必ず聞くと。可能であればきちんと受任をするということはやっているつもりではいます。
○辻本 ほかに法律事務所のない地域でやっていらっしゃると、かなり公的な機関から、例えば市役所とか、裁判所、弁護士会のような、そういうところからの事件の紹介みたいなものもあると思うのですが、それは全体のお仕事の中で、そういう紹介の占める割合というのは結構多いでしょうか、どうでしょう。
○大窪 紋別の場合ですと、やっぱり市役所経由であるとか、弁護士会経由の事件であるとか、それで1回相談をして、うちに来るとか、消費者センターから来るという事件が半数以上を占めています。残りは新聞であるとか、口コミといった形とか、電話帳を見て調べたとか、そういうことですので、やはり市役所とか消費者センターとか、そういった公的機関との連携というのがやっぱり必要なことであると思います。
○辻本 そういう紹介のある事件と、全くなしで、直接電話で飛び込んでくる事件と、何か取り扱いを変えたりはしておられますか、それとも一緒にしておられますか。
○大窪 基本的には区別をすべきではないと思っていますので、一緒ですが、ただ、やはり市役所とか消費者センターから、ある程度1次的な相談をしてもらっているところから来るのは、やっぱり緊急性が高いものが多いと。例えば消費者センターであれば、訪問販売ですけれども、普通にクーリングオフで対応できるものはうちには来ないですから、それは内容証明郵便か配達証明を出して対応しているといような状況ですので、そういったところで緊急性が高いものがうちに来るということはありますが、結果として優先的に入るということはあります。
○辻本 岩井先生、今の事件数のコントロール、これは今、大窪先生御説明のような、一般の事務所の対応と4号事務所の対応と特別な差異はないという理解でよろしいのでしょうか。
○岩井 どの程度の事件数をこなしていただくかということについて、一応目安的なものを考えていきたいなと。というのは、地方事務所の方々にお願いをする際、全くどの程度の配点でお願いしたいかということも出ないと、ばらばらでしょうから、一応の目安、この程度はやっていただきたいというようなものをお示ししたいなというふうには思っております。特に4号につきましては、国選・扶助・有償業務、それぞれが三つの柱としてあるわけでございますので、その辺のバランスを十分とっていただくということになっていくかというふうに思います。
○辻本 予定していなかった質問で恐縮なのですが、法テラスという組織は、いわゆる情報提供業務というのをやりますが、同じ法テラスの組織で4号事務所があるというと、4号事務所を情報提供業務の中で、ほかの一般的な法律事務所と特別に扱うということがあるのでしょうか、ないのでしょうか。その点をちょっとお答えいただけますか。
○岩井 特別にそれをやるということではありません、情報提供については。あくまでも法律事務所として、きちっと国選・扶助・有償業務をやっていただくということが中心であります。ただ、例の法教育なり、そういう問題については、やはりスタッフ弁護士の方々も非常に関心を持っておられます。いろいろなところで地域との連携を持っていきたいということでございますので、そういう意味での法教育的な形での役割を担っていただくことはあり得ます。
○辻本 江差のスタッフ事務所については大体この程度にいたしまして、午前中、残りの時間、旭川のスタッフ弁護士に話題を移したいというふうに思いますが、先ほどの御紹介で、岩井先生のお話で、どうやら旭川の事務所は「法テラス旭川法律事務所」という名称になるようです。旭川本庁管内の事件としては、民事法律扶助と国選弁護に仕事が限定されるということのようです。当番弁護、被疑者弁護人援助、少年付添人扶助、国選付添人、これは当面、旭川本庁管内ではできないということでよろしいですね、岩井先生。
○岩井 そういうことになります。
○辻本 ただ、実際にそれだけではなく、旭川地裁支部の仕事についても、応援のような仕事をすることが予定されているようなのですが、まず、先ほど中村先生からお話がありましたけれども、地元としてはそういう仕事も必要ということになるのでしょうか。
○中村 先ほど遊軍応援部隊というようなちょっと失礼な表現もあったかもしれないのですが、当初の議論で念頭に置いていたのは、やはり主に刑事事件ということになるわけです。1人支部のところで大規模な共犯事件が起こったとか、例えば多人数の外国人の方の事件、幸いそういうことはまだ起こっていないのですが、いつ起こらないともわからないわけで、そういうことが起こったりした場合に、それから、利害相反があって、例えばそもそも被害者の相談を受けているので受けられない事件とかがあった場合に、それをだれがバックアップするか。本庁登録の弁護士だけでバックアップしきれるのかどうかということにやはり不安は残らざるを得ないというところで、そういうことをやっぱりある程度スタッフ弁護士に、本庁からある程度応援していただくというようなことは想定していたところであります。
それと、最近になって、会内の議論の中でやっぱり問題になってきているのは、この後も話すチャンスがあるかもしれないのですが、民事法律扶助の大幅な需要増、扶助の爆発とも言うべき現象が起こるのではないかということが、若手に大きな危機感を抱かせているわけです。いわゆるコールセンターにおきまして、法律扶助の指導基準も含めた宣伝がかなり行われると。しかも、扶助の基準といいますのは、生活保護の一級地というものは一応別枠扱いということにはなっておりますが、基本的には全国ほぼ一律の基準ということになるわけです。例えは悪いかもしれませんが、最低賃金であるとか、あるいは我々がやる給与所得者再生の生活費などで、5段階ぐらいにかなりきめ細かくやっていますが、あれぐらいきめ細かくやっていただいてもいいのではないかという気もしないではないのですが、残念ながらなかなかそういうふうにはいかない面もあるようでございます。そうなった場合に、やはり支部にいる弁護士の方が、例えばひまわり以外で、お一人でやっていらっしゃると。そうすると、法テラスと契約したいという気持ちがないわけではなくても、いろいろな事務所の形態であるとか、受任能力の限界などもあって、法テラスとの契約に消極的にならざるを得ないという方がやっぱり出てきてしまうという局面もあるかもしれない。あるいは、ひまわり事務所であっても、扶助事件の爆発に対応しきれないという事態もあるいは起こってしまうかもしれないという、いろいろな要素があるなと思っているわけであります。その辺において、何か支部の応援というようなことが必要になってくるのではないかと思っているわけです。
○辻本 それで、支部の応援というような話になってきますと、ちょっとややこしい話が出てくるのですね。というのは、本庁管轄管内では、これは扶助と国選に限られると。ただ、旭川の支部管轄は全部司法過疎地域ということになりますから、そういうところに出かけて行ったときには、そのほかの仕事もできるのかというような、何ともややこしい話が出てくるのですが、このあたりは、小林先生、本庁の弁護士でも、出かけて行く先が過疎地域であれば4号業務ができるというような理解になるのでしょうか。
○小林 分けて考える必要があると思いますが、まず当番の問題ですよね。都市部の常勤スタッフ弁護士が、例えば近隣の弁護士過疎地域で発生した刑事事件について、当番として出動できるかと、こういう問題があると思うのですが、私は、これは基本的にはできるというふうに考えておく必要があるだろうというふうに思うのです。これはなぜかというと、要するにスタッフ弁護士は、基本的には一般弁護士と同じように、業務の地域的制限はしてはいけない。これは随分古い話ですが、倫試の意見書によりますと、弁護士に地域的な業務制限を加えようとした意見書がありましたね。そういうことを言ったことがあって、日弁連はそれも一つの大きな倫試の意見書に対する反対の大きな運動の契機になったわけですけれども、そういう問題があって、弁護士は基本的に地域的な制限、あるいは審級制限、地裁だけできる弁護士、高裁だけできる弁護士、こういったものをつくってはいけない。すべてオールジャパンに対応できるという、そういうことを弁護士はできるというスキームになっていますし、これはスタッフ弁護士であっても基本的には相違はないという仕切りをしなければいけません。
ただ、スタッフ弁護士は、先ほど言いましたように、職務専念義務があるということと、やはり扶助・国選という、民業圧迫をしないという制度仕切りの中で、一定の合理的な制約があるということで、あるいは当番弁護士をいっぱいやらされて、ほかの本来業務ができなくなってしまうと。旭川にいるスタッフ弁護士がしょっちゅう留萌だとか稚内、そういう道北を走り回っていて、旭川にいないと、こういう状況は確かに困ると思うのです。だからそれは所長が業務の中身をよく見て、やはり本来業務に影響ないかどうかを判断して決めていくと、こういう仕切りが必要だというふうに思うのです。そういう意味では、基本的には当番はできるというふうに考える。
それから、扶助・国選についても、基本的に本庁管内だけではなくて、スタッフ弁護士については、扶助・国選は、その地域以外の支部管轄についても基本的にはできると。ただ、今申し上げたように、遠い、時間が非常にかかって、往復の時間にとられてしまって、旭川の業務に影響が出てしまうということでは具合悪いので、これは時間を追って、そういうところにも徐々にスタッフ弁護士を置いていく必要があるわけで、そういう申し出があるのであれば、隣にいる大窪さんが紋別に対応していただくとか、名寄では笠原さんに頑張っていただくとか、そういったことで、相互にひまわりとスタッフが連携をしながら過疎対策をしていくと。
それから、旭川は、これは中村先生なども時々おっしゃっているのかもしれませんけれども、旭川全体が言ってみれば司法過疎地域なのですよね。これは佐賀の2年ぐらい前の会長がおっしゃっていましたけれども、本当に佐賀などは全県が司法過疎地なのですよと、こういうことをおっしゃるわけです。そういう認識がおありになるかどうかは別としても、総体として需要になかなかこたえきれないから、本当にオーバーワークになっているという現状もあるわけでありますから、やはり今後、司法過疎地域を含めて、スタッフ弁護士を投入する必要性がある地域には、やっぱり配置をしていく必要があるだろうと思います。もちろん弁護士会として、偏在対策を積極的にやって、スタッフに依存しなくても地域のニーズに応えられると、そういう政策をやっぱり積極的にとっていく必要がもちろんあるだろうというふうには思います。以上です。
○辻本 実際に旭川のスタッフ弁護士にどういう仕事をどの程度やっていただくか、まだ具体的な案はこれからつくるということなのですが、今の小林先生の御意見も踏まえて、岩井先生、その他、法テラスの本部と地方事務所である私といろいろ協議をしていく必要のあることという理解をしております。
法テラス旭川の事務所ですが、ちょっと私の方から御紹介をさせていただきますと、旭川地方事務所の一角にございます。ただ、一角と申しましても、法律扶助の業務等をやる事務室、それから相談室、審査室のフロアと、別のフロアにスタッフ弁護士の事務所がございます。事務職員の採用は、先ほどから話題になっていますように1人が予定されておりまして、この増員の可能性については江差と同じ問題があるということでございます。
旭川で弁護士をするにしても、自動車というのは、これは結構必要なものと思われますが、中村先生、必ず要りますよね。
○中村 聞くまでもないと思いますが、刑務所へ接見に行くにいたしましても、旭川の刑務所は山の麓にあるわけで、そこへ行くには、やはり車でも、冬道だと30分くらいかかるかな、安全運転すぎるかもしれないけれども、往復1時間ぐらいかかるわけです。相当な時間がとられるわけですが、バスで行こうと思うと、1日に4、5本しかないわけです。とてもバスは使えない状況です。
○辻本 先ほど自家用車を使って、その業務に使う部分の費用の負担を法テラスが行うという取り扱いが江差ではお考えのようですが、旭川も基本的には同じような扱いをしていただけるというふうに考えてよろしいのでしょうか、岩井先生。
○岩井 そのとおりでございます。
○辻本 ありがとうございます。
さて、お昼近くになったのですが、あと残されたところで、旭川のスタッフ弁護士の業務量なのですが、これも江差と同じように、正直言ってまだ具体的な数字を、根拠を挙げて説明するというほどの中身はございません。ただ、先ほど紹介していただいた紋別のデータの半分ぐらいの数字は実績として考えるのかなと、今漠然と考えているのが地方事務所長としての私の考えでございます。大窪先生、どうぞ。
○大窪 具体的な数字がないというふうな話ですけれども、結局旭川本庁の弁護士1人がやれる業務ですから、これはやはり普通の弁護士以上のことはできないと私は思っています。先ほどの辻本先生のお話とかもあるように、支部の事件もやる、それで本庁の業務をやるというふうなことなのですが、私はちょっと、旭川はゼロワンに該当するワン支部が三つ、稚内が2人いますけれども、四つの支部の仕事をまとめてやるということであると、かなり本庁の弁護士としては厳しすぎるのではないかなというふうな意見を持っています。というのは、事件数で、例えば支部の事件をそれぞれ、うちの半分ですから40件とか50件ぐらい受任すると。本庁事件も、例えば半分、本庁で50件ぐらいやるとして、それで何とかやるというふうなことは、これは絶対無理だと私は思います。まず本人に会うために、相談をするために、月に1回ぐらい、各支部に相談に行く。それから、打ち合わせのためにまた行く。さらに裁判の開廷日は決まっていますから、そのときにも各支部についていくというふうなことになってしまいますと、1カ月のほとんどが出張で埋まってしまうと。しかも移動距離が、旭川管内の場合、半端ではありませんから、うちまでが140キロありまして、近い留萌とか、名寄であっても100キロ近くあると。稚内に至っては1日がかり、片道だけで200キロ、300キロ近い距離もいってしまうと。1日がかりの仕事を繰り返さなければいけないと、そういったところで、私は支部の仕事もやる、本庁の仕事もやるということでは、死んでしまうと思います。ですから、私は支部の仕事については全くできないというふうに思っていまして、やっぱり現実的には本庁の本来業務に専念すべきではないかというふうに私は考えております。
○辻本 そういう御意見を地方の方から出していただくと、私もそうなのかなというふうに思ってしまう部分も正直ございます。ですから、あまり華々しい活躍をしていただいて、一手に引き受けてというような、そんな感じではどうもなさそうです。とすると、やはり将来的には、旭川の管内にスタッフ弁護士の数を場合によっては増やしていただくような状況になるかもしれない。可能性は結構高そうだという印象を受けますが、このあたりの増員の可能性みたいなことについては、岩井先生、どうでしょう。状況によればお考えいただくこともあり得るのでしょうか。
○岩井 まず、10月に業務開始で、スタッフ弁護士の内定者の方々には、御自身の事件処理をしていただいて赴任していただくということでございますので、時期が若干ずれますけれども、いずれにしましても、スタッフ弁護士の方々が実際に業務量をどのようにこなされて、どうなるかということをきちっと見きわめるということと、やはり平成21年の被疑者弁護、裁判員制度との関係がございますので、全国にきちっと配置していくということも当然必要ですし、それから、やはり司法過疎対策ということは大きな柱でございますので、とにかく実質ゼロワン地域をなくしていくということも大きな柱でありますので、そういうことを総合的に判断しながら、複数配置していくということはあります。
それで、ぜひとも今日、お願いをしたいと思いますけれども、先ほど札幌の矢野所長も言われましたけれども、日弁連では、各地域で養成事務所として、弁護士として登録された方をきちっと1年間養成していくと。その養成を、ぜひとも北海道の各単位会において養成事務所を大いに広げていただいて、そこで養成をしていただくと。その養成された方々は、その地域の中で養成されるわけですから、本当に地域の実情をよくわかりますし、また、地域に対する愛着も出てくると、そういうふうに思います。ですから、そういう中で、もちろんそこで養成されたから地元に置きますよということは確約できませんけれども、当然、スタッフ弁護士希望者、候補者の御志望等も当然踏まえるわけですから、結果としてはそこに配置されるということも可能性は出てくることでもありますので、やはり全国各地で養成事務所が多く手を挙げていただいて、そこで養成していただくということが一番大事かというふうに思っております。
○辻本 ありがとうございました。
12時まであと10分ほどございますが、お食事をとっていただく必要があり、ランチタイムですので混雑もするかと思います。ですので、ちょっと早いですが、ここで午前中のシンポを打ち切りとさせていただきます。