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北海道弁護士連合会 2002年度定期大会 報告
1. 2002年7月26日、当連合会の2002年度の定期大会が釧路で開催されました。
 同定期大会では、昨年度の会務の報告がなされた後、議案の審議が行われました。提案された議案は3つです。

(1) 一つ目は「『市民の司法』を実現するため、裁判所・裁判制度の改革並びに抜本的な予算措置を求める決議」です。
 この提案は現在進行中の司法改革が裁判所・裁判所制度の改革に手が付けられないまま終わるのではないかという危惧の念から、国及び最高裁判所に対し、道民・市民の期待する司法制度を具体的に制度設計するとともに、そのために必要な予算措置を講じてこれを実現することを求めるものです。

 この提案に対し、出席者からは、ある支部では一か月1度しか期日が入らず、しかも、その少ない開廷日に裁判が集中してしまい、苦労しているという体験談を交えた意見がありました。

 この議案は全会一致で採決されました。

(2) 続いて、「ヤミ金融の根絶を求める決議」が提案されました。北海道内では、10日で5割、10割という超金利の貸し出しを行うヤミ金融の被害者が急増していることから、ヤミ金融被害を根絶するため、警察に対してヤミ金融の取締りを強化し、国及び北海道に対しては、ヤミ金融取締を強化する方策の立案及びその実施を求めるというものです。

 出席者からは、被害の相談を受けている弁護士が情報を収集し告発を行っているが、その告発を受けた警察等の動きが鈍いとの意見が述べられました。

 これについても全会一致で採決されました。

(3) 最後に、「民事法律扶助事業に対する緊急の財政的措置を求める決議」が提案されました。裁判の費用を用意できない市民のために(財)法律扶助協会がこれを援助する事業を行っていますが、近時、破産事件を中心として法律扶助申込事件数が著しく増加しているのに、国は法律扶助事業について補助金に関しては前年度比9000万円増の30億円程度の予算措置しかとらなかったために、法律扶助申込受付の中止や次年度へ持ち越しという事態に陥っています。そこで、国に対し緊急の財政的措置を求めてこのような事態を解消しようというのが本提案の趣旨です。

 ちなみに、国民一人あたりの法律扶助に対する国庫支出額は、日本は18.9円に過ぎないのに、イギリスでは3840円、ニュージーランド1440円、アメリカでも270円となっています。

 この提案に対しては、出席者から、法律扶助申込事件数増加の原因は多重債務者の自己破産事件の増加にあるが、このような多重債務者問題は社会全体の問題として位置づけて、このような案件について法律扶助制度を利用することについて正当性を訴えるべきであるという意見が述べられました。また、別の出席者からは、法律相談という基本事業にさえ影響が出始めており、事態は深刻であり、早急に改善されなければならないという発言もありました。

 提案は全会一致で議決されました。

(4) なお、上記3決議は、直ちに関係機関に執行されております。

2. 続いて、来賓である(財)法律扶助協会、(財)日弁連法務研究財団、(財)日弁連交通事故相談センター、日本弁護士国民年金基金、日本弁護士政治連盟の各代表者からご挨拶がありました。

 その後、日弁連執行部(事務総長)からの日弁連会務の報告の後、日弁連執行部と定期大会出席者との間で、日弁連会務に関し意見交換が行われました。会員からは、簡易裁判所の事物管轄引き上げに関する法改正の問題、裁判員制度、国費による被疑者弁護制度実現等について、日弁連がどのように対応しているかに関して質疑・意見交換がなされました。時間不足のため、充分消化し得ないまま終了したという印象が有ります。

3. 最後に、永続在職者表彰が行われ、札幌弁護士会所属の上口利男氏・池田雄亮氏・毛利宏一氏、旭川弁護士会所属の古田渉氏、釧路弁護士会所属の橘精三氏が、在職40年表彰を受けました。

 また、札幌弁護士会所属の鈴木貞司氏・冨岡公治氏・田中健二氏・後藤徹氏・佐藤太勝氏・佐藤義雄氏・馬杉栄一氏・飯野昌男氏・日浦力氏、旭川弁護士会所属の川村武雄氏が在職30年表彰を受けました。

 更に、職員在職30年表彰として札幌弁護士会職員の渋谷賢一氏が、表彰を受けました。

 被表彰者の皆さんには、道弁連田中宏理事長から表彰賞状と記念品が贈呈されました。被表彰者を代表して橘精三会員から謝辞がありました。

4. 次年度の開催地は札幌と決定され、2002年度の道弁連定期大会は閉会となりました。

(文責 高 橋  智)

議  案
議案第1号(決議

旭川・釧路・札幌・函館弁護士会共同提案
「市民の司法」を実現するため,裁判所・裁判制度の改革並びに抜本的な予算措置を求める決議

1. 当連合会は,2000年度定期大会において「裁判所の抜本的な改革を求める決議」を,また,2001年度定期大会において「国民の司法参加を実現し,裁判所の抜本的な改革を求める決議」をそれぞれ採択し,今次の司法改革の重要な課題の一つが裁判所・裁判制度改革であることを一貫して主張してきた。

 この間,昨年6月12日には,司法制度改革審議会が,意見書「21世紀の日本を支える司法制度」を内閣に提出し,その中で裁判所・裁判制度の改革に関する提言を行い,その後,政府は,昨年12月1日,司法制度改革推進本部を設置し,同本部において司法制度改革等に関する具体的な制度設計及び立法作業を進めている。 

 しかし,司法改革推進本部における立法作業状況を見ると,司法改革の重要な課題の一つである裁判所・裁判制度の抜本的な改革に手をつけないまま部分的な改良だけで終わらせてしまうのではないかとの危惧を払拭できない。

 当連合会は,我が国の裁判所が,司法修習終了後直ちに裁判官に任官するキャリア裁判官制度を採用しており,最高裁判所が裁判官の任地・給与・昇進などの人事権を集中的に行使している現状があり,その結果,裁判における審理の形骸化や和解の強要,個人の権利・自由よりも立法府・行政府の判断を偏重する不適切な判決や市民常識・市民感覚から離れた裁判などの弊害が生じていることを指摘したが,これらの現状及び弊害は現在でも改善されていない。今次の立法作業過程においてこれらの現状について今一度明確に把握・分析することが,21世紀の日本を支える司法制度の改革の実現にとって必要不可欠である。

2. また,司法制度改革審議会の意見書では,「裁判所,検察庁等の人的体制の充実を始め,今般の司法制度改革を実現するためには,財政面での十分な手当が不可欠であるため,政府に対して,司法制度改革に関する施策を実施するために必要な財政上の措置について,特段の配慮をなされるよう求める」とされているが,現在の立法作業状況を見ると,財政上の問題から意見書の提言等が実現されないのではないかとの疑念も否定できない。 

 財政的裏付けがなければ,司法改革の具体的制度設計が真に「市民による司法」及び「市民のための司法」を実現するものとなり得ないことは明らかである。日本弁護士連合会は,本年5月24日,函館市において開催された定期大会において,「司法改革に対し抜本的な予算措置を求め,市民のための大きな司法の実現をめざす宣言」を採択し,立法作業において司法改革に対し抜本的な予算措置を求めた。

 当連合会は,広大な地域において司法過疎の問題があることを明確にした上で,道内各単位会と協同して各地法律相談センターや公設事務所等を設置し司法過疎の解消に向けた取り組みを行ってきた。ところで,管内の裁判所は,適正に配置されていない或いは裁判官の人数が不足しているために,裁判所が各地域に密着して法的紛争を解決する機能を十分に果たしているとは言い難い。このような現状を改善するには,裁判所を適正に配置し,かつ,裁判官等の人数を増員する必要がある。また,増加する法曹が市民のための司法を十分に担うためには,それにふさわしい資質・能力を備え,地域に密着した法曹を養成することが不可欠であり,そのためには充実した法科大学院制度を創設することが要請される。その他,司法制度改革審議会の意見書で提言された,国費による被疑者弁護制度,裁判員制度,裁判官任命手続に民意を反映させる制度など,国民の期待する司法制度を実現するとともに,法律扶助制度を充実しもって国民の裁判を受ける権利などを確保するためには,必要にして十分な財政的裏付けが不可欠であることは明白である。
3. 当連合会は,国及び最高裁判所に対し,裁判所・裁判制度の現状と問題点を改めて十分に明らかにした上でその抜本的な改革を今次の司法改革の要とすることを明確にすること,並びに,道内における司法過疎の現状を改善する諸施策を実施するなど,道民・国民の期待する司法制度の具体的制度設計が真に「市民による司法」及び「市民のための司法」を実現するものとなるよう十分に検討することを求めるとともに,これらの改革のための諸施策を断固として実現することができるよう抜本的な予算措置を講ずることを強く求める。
 以上のとおり決議する。

2002(平成14)年7月26日
北海道弁護士会連合会

議案第2号(決議)

旭川・釧路・札幌・函館弁護士会共同提案
ヤミ金融の根絶を求める決議

 景気が長く低迷する中,収入の減少,リストラ等による解雇,倒産により,生活苦に陥るものが増加し,その結果,多数のサラ金・クレジットから借入れを行う多重債務者の存在が大きな社会問題となっている。かかる社会状況において,超高金利で金員を貸し付け,犯罪的な取立てを行うことにより暴利を貪る貸金業者(以下「ヤミ金融」という)が多数出現している。

 ところで,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という)は,金銭の貸付を行う場合において,年29.2%を超える割合による利息の契約をし,又はこれを超える割合による利息を受領することを禁止し,違反者に刑事罰を課すことも定めている。
 
 また,貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という)は,貸金業者に内閣総理大臣又は都道府県知事に対する登録,借主に対する契約書面及び受取証書の交付を,それぞれ義務付けている。加えて,貸金業規制法は,債権の取立てをするにあたって,人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害する行為を禁止している。
 
 しかるに,ヤミ金融の中には,出資法の上限金利を大幅に超える年利1,900%以上で営業を行っている者が多く見られる。また,いわゆる多重債務者や破産宣告を受けた者に対して執拗な勧誘により貸付けをなし,貸金業規制法で義務付けられている契約書・受取証書の交付も行っていない者も多い。加えて,取立てにあたっては,貸金業規制法の定める禁止事項に反し,脅迫的・暴力的取立てにも及んでいる者がいる。さらに,これらの金融業者の中には,そもそも貸金業登録をすらしていない者も多数いる。

 その結果,ヤミ金融から借り入れた者は,違法な高利を支払わされ,更に経済的困窮に陥っていったり,脅迫的・暴力的取り立てのため多大な精神的苦痛を受けているのが実態である。

 われわれは,ヤミ金融の根絶・被害者の救済を目指し活動してきたところであるが,今後ともこの活動を更に強化し,ヤミ金融の速やかな根絶と被害者の救済を図るため全力を尽すことを決意するとともに,関係各機関に以下のことを強く求める。

1 警察に対しては,ヤミ金融の取り締まりを強化すること。
2 国および北海道に対しては,ヤミ金融の規制を強化する方策の立案・実施をすること。
 
 以上のとおり決議する。

2002(平成14)年7月26日
北海道弁護士会連合会

議案第3号(決議)

旭川・釧路・札幌・函館弁護士会共同提案
民事法律扶助事業に対する緊急の財政的措置を求める決議

1. 憲法第32条は,国民の「裁判を受ける権利」を規定している。2000年10月に施行された民事法律扶助法は,この「裁判を受ける権利」を実質的に保障するものである。

2. 民事法律扶助法施行後,財団法人法律扶助協会の扶助事業における援助件数は著しく増加しており,特に代理援助の件数は,1999年度約12,700件,2000年度約20,000件,2001年度約29,800件となっており,2002年度には40,000件に達することが予想される。

 しかし,同法施行後の国の補助金は,法律扶助申込件数の増加に対応できない状況にあり,全国で扶助申込受付の中止がなされ,2001年度の扶助申込を2002年度の扶助決定に持越すという事態にまで至っている。北海道内の各支部においても,同様の事態となっている。

3.
 しかるに,本年度,国は,民事法律扶助事業について,66億円余の予算要求に対して,前年度に比べて約9,000万円増の30億円弱の予算措置しか講じなかった。このような予算措置では,本年度の扶助申込に対応できないことは明らかであり,このまま推移すれば,民事法律扶助事業が破綻をきたすことは避けられない。

 民事法律扶助法施行による扶助事業に対する国民の期待は,大きなものがあった。国庫補助金の不足のために,法律扶助が受けられない事態が続くことは,法律扶助制度に対する国民の期待に反するばかりか,ひいては,扶助制度そのものの意義を問われることになりかねない。
 国は,民事法律扶助法に基づく法律扶助事業の充実をなすべき責務を果たすために,直ちに緊急の財政的措置をなすべきである。

 以上のとおり決議する。

2002(平成14)年7月26日
北海道弁護士会連合会